フェルミ推定とは、一見すると正確な把握が難しそうな数値について、論理的に概算することです。本記事では、転職活動におけるフェルミ推定の重要性や問題を解く際のステップを紹介しています。転職活動中の方は、採用面接の対策として参考にしてください。
フェルミ推定とは
フェルミ推定とは、論理的に概算を行うことで、正確な把握が難しい数値を推定するメソッドです。主に、企業の採用面接で出題されることが多いと言われています。
フェルミ推定の問題は簡単ではありませんが、解き方をあらかじめ学んで例題を解いておくことで、採用面接の対策につながります。
フェルミ推定の歴史的経緯
イタリアの物理学者であるエンリコ・フェルミが、自身の生徒である大学生に出題していたことが発祥とされています。その後、1980年代ごろから、アメリカの企業が採用面接で出題するようになりました。
昨今の日本では、外資系のコンサルティング会社や商社、ベンチャー系といった企業の採用面接で出題されています。
転職活動におけるフェルミ推定の重要性
新卒採用だけではなく、中途採用においても、フェルミ推定の問題はさまざまな企業で頻出傾向にあります。
実際に正しい数値を出せたかどうかよりも、論理的思考や段取りの良さが採用面接での評価ポイントです。また、フェルミ推定はグループワークの一環として出題されることが多いため、グループ内での対話力も評価されます。
このように、フェルミ推定は転職希望者の多様なスキルを測る手段として出題されているため、解き方を事前に学んで練習しておくと採用面接を有利に進められるはずです。
また、フェルミ推定を解くトレーニングを通して、論理的思考力や説明力が育まれるメリットも期待できます。
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採用面接でのフェルミ推定の評価ポイント
採用面接でフェルミ推定を出題する企業は多いものですが、人事担当者はどのような点を評価しているのでしょうか。
論理的に思考ができるか
フェルミ推定では、正確な数値を出せたかどうかはさほど重要ではなく、答えに至るまでの過程が最重視されます。そのため、出題された問題をいくつかの要素に分解して本質を把握し、根拠に基づいて道筋を立てていくという論理的思考が必要です。
どのような仕事内容であっても、顧客や自分が抱える課題の解決に向けて取り組む場面は、必ず発生するものです。このような場面では、課題の本質を把握して論理的に仮説を立てる論理的思考力が求められます。
そのため、転職希望者の論理的思考力を測るひとつの指標として、フェルミ推定を出題する企業が多いのです。
限られた時間で段取り良く計算ができるか
フェルミ推定を解く上では、制限時間が設けられる場合がほとんどです。限られた時間をそれぞれの計算ステップにうまく配分して、段取り良く計算ができるかが重要となります。
ビジネスにおいても、一つひとつの仕事に制限時間が存在する点は同じです。限られた時間の中で仕事を段取り良くこなすことが、仕事全体の効率と生産性を高めます。
採用面接でフェルミ推定を解く際には、与えられた時間をいくつかのステップに分配した上で、問題に取り組むようにしてください。
導き出した答えをわかりやすく説明できるか
フェルミ推定では、正しい数値が答えとして用意されておらず、答えに至るまでの過程を人事担当者が納得できるかが重要です。問題の捉え方や計算方法の立て方、計算結果など、一つひとつの項目が根拠に基づいていることが求められます。
こうした説明力は、ビジネスにおいても、商談やプレゼンテーションの場面で必要なスキルです。自分が立てた仮説や計算結果を、根拠に基づきながら筋道立てて説明できると、顧客や取引相手の納得が得られやすいと考えられます。
対話を通して意見をブラッシュアップできるか
採用面接では、グループワークの一環としてフェルミ推定が出題されるケースが多く見られます。そのため、グループの他のメンバーとコミュニケーションを取りながら、全員の意見を一つの道筋にまとめる必要があります。
そのため、自分とは異なる意見を受け入れた上で、ブラッシュアップを重ね、全員が納得のいく妥協点を探っていく能力が必要です。こうした能力は、多様な考え方や背景を持つ人が集まる企業においても、大変重要な能力と言えます。
特にグループワークとしてフェルミ推定が出題される場合には、自分の意見だけではなく、他のメンバーの意見も受け入れながら取り組むようにしてください。
フェルミ推定の解き方
フェルミ推定の解き方を知らないうちは難解に感じられますが、一度解き方を覚えてしまえば、順序立てて答えを導き出せるようになります。どのような問題であっても、基本的には解き方は同じです。
①問題の前提条件を明確にする
フェルミ推定の問題文中には、抽象的な文言が使用されることがあります。例えば、「年間のPCの売上高を求めよ」という問題が出されたとします。この場合、対象エリアが日本国内であるか海外も含むのか、またPCの種類はデスクトップとノートPCどちらなのかがあいまいです。
こうしたあいまいな点を明確にせずに解き進めてしまうと、公式を考える際に行き詰ってしまいます。また、答えにたどり着けても、出題者側の意に沿わない回答内容になるおそれもあるのです。
したがって、まずはこうした前提条件を面接官に確認するかグループ内で決めるかして、問題文中にあるあいまいな文言の定義を明確にしておくようにしてください。
②問題を要素分解して公式を考える
問題の前提条件が明確になった後は、問題を構成する要素に分解して公式を作成します。例えば、「売上高」を求める問題は「単価×数量」という公式で解けるため、問題文を単価と数量という要素に分解します。
「日本における年間のデスクトップPCの売上高を求めよ」という問題の場合、「デスクトップPCの単価」×「日本の総人口」×「1人あたりの年間デスクトップ購入回数」という要素に分解可能です。
また、売上高のほかには「利益」「モノの個数」「市場規模」「顧客数」といった言葉で、出題されることが多くなっています。それぞれ、どのような公式で求められるのかをあらかじめ考えておくと、本番で公式を立てやすくなります。
③公式を使って計算する
公式を作成した後は、公式に数字を当てはめて計算を行います。先ほど例に示した「PCの売上高」の問題では、「日本の総人口」と「デスクトップPCの価格相場」を知っておくとスムーズに数字を当てはめられます。
「1人あたりの年間デスクトップ購入回数」など限定的な内容については、一つひとつ調べておく必要はありません。課題に取り組むグループ内で話し合い、妥当な数字を導き出すことが重要です。
一方で、日本の総人口はフェルミ推定の問題を解く際に頻繁に使用する数字であるため、必ず覚えておくようにしてください。
また計算後は、計算結果や答えに至るまでの過程を必ず振り返り、著しく現実性に欠ける内容になっていないかをチェックしましょう。
フェルミ推定の例題
フェルミ推定の基本的な解き方を学んだところで、ここからはフェルミ推定の例題を解説していきます。まずは自力で答えを考えた後に、解説を読むのがおすすめです。
日本国内の遊園地の数
①問題の前提条件を明確にする
この問題でまず明確にすべき点は、遊園地の定義です。今回は、USJやディズニーランドといったテーマパークは除いて、観覧車やジェットコースターなどのアトラクションがメインの場所を遊園地と定義します。
②問題を要素分解して公式を考える
日本国内の遊園地の数は、「各都道府県に存在する遊園地の数」×「遊園地が存在する都道府県の数」という要素に分解できます。次に、都道府県ごとの遊園地の数を算定してください。
この際、大都市圏や地方都市に関しては、遊園地の数を多めに見積もっておくと現実性と説得性が高まります。例えば東京都は5件、北海道・神奈川県・千葉県・大阪府・兵庫県・福岡県といった6つの地方都市はそれぞれ3件と設定します。その他の都道府県については、それぞれ1件存在すると仮定します。
③公式を使って計算する
②で仮定した数字を、以下の公式に当てはめてください。
「各都道府県に存在する遊園地の数」×「遊園地が存在する都道府県の数」
この公式で計算すると、日本国内の遊園地の数は、
5(東京都の遊園地の数)×1+3(地方都市6県の遊園地の数)×6+1×40=63箇所
という結果になります。
缶コーヒーの国内市場規模
①問題の前提条件を明確にする
この問題で明確にすべき点は、市場規模の定義と、対象となる期間です。まず市場規模はその業界の経済規模を示す指標ですが、一般的には売上高の合計とされています。また、売上高の対象期間は、区切りが良い1年間とします。
②問題を要素分解して公式を考える
缶コーヒーのような消費財は、「客数」×「客単価」×「購入頻度」で売上高を計算できます。缶コーヒーの購入頻度は、高齢者になると少なくなると予想されるため、今回は年齢別に計算を行います。また、缶コーヒーの単価は130円と設定し、0から18歳までの若年者は缶コーヒーを購入しないという前提を設定します。
18歳から65歳までの就業人口はおよそ6000万人いますが、それぞれ週に2回、年に104回コーヒーを購入すると設定します。また、65歳以上の高齢者はおよそ2000万人、それぞれ週に0.5回つまり年に26回購入するとします。
③公式を使って計算する
②で設定した数字を、「客数」×「客単価」×「購入頻度」の公式に当てはめてください。
(就業人口)6,000万人×130円×104回/年+(高齢者)2,000万人×130円×26回/年=8,788億円という結果になります。
最後に
フェルミ推定は、論理的思考力や段取り能力、コミュニケーションスキルを測る指標として、転職時の採用面接で出題されることがあります。特に、コンサルティング会社やベンチャー企業、外資系の企業の採用面接では頻出傾向です。
採用面接で出題されるフェルミ推定の対策としては、フェルミ推定の基本的な解き方の理解と例題の実践が挙げられます。本記事で紹介した例題の他にも、さまざまなパターンの問題が存在します。
最近では、フェルミ推定の問題を取り扱った問題集が多数出版されているため、転職活動の一環として問題に取り組んでみてはいかがでしょうか。
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