「子持ち 転職」で検索を行うと、タイトルに「厳しい」「失敗」などのネガティブな言葉が並んでいるのを多く目にするため、不安に思う人も少なくないのではないでしょうか。
この記事では子持ちの人が転職を成功させるためにはどうすればよいのか、詳しく解説します。
子持ちの人が転職を考える背景
厚生労働省が2020年に行った人口動態調査の結果によると、第一子出生時の母親の平均年齢は2020年において30.7才でした。
このことから男女ともにおおむね30代になると子供ができて、ライフステージの変化を迎える人が多いと言えるでしょう。
また、2022年1月に、株式会社ビズヒッツが30代の男女203人を対象に行った転職に関するアンケート調査の結果によると、転職の理由を「ライフスタイルの変化」と回答した人は32名で3位でした。
そして転職活動が「順調だった」と回答した人が23.6%、「どちらかといえば順調だった」と回答した人が36.5%で合計60.1%であることから、4割程度の人はあまり転職活動が順調には進まなかったと回答しているのです。
これらのことから、子持ちの人が転職を考える背景はライフステージの変化を迎えて働き方を考え直すことにありますが、転職活動が順調に進むとは必ずしも言えないという現状も垣間見えます。
参考:厚生労働省「令和2年(2020)人口動態統計月報年計(概数)の概況 結果の概要」
参考:Biz Hits「30代からの転職理由と転職活動で失敗したことランキング!男女203人アンケート調査
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子持ちの人が転職をする際に必要な事前準備
子持ちの人が転職をする際には、どのような事前準備をしておくと転職活動がスムーズに進むのでしょうか。
5つご紹介します。
子供の預け先を決める
子持ちの人が転職する際にまずしておかなければならないのは、子供の預け先を決めることです。
夫婦それぞれの実家を頼る場合もありますが、多くは保育園への入園を検討するのではないでしょうか。
保育園の種類とその概要を表にまとめてみました。
保育園の種類 | 定義 | 申し込み時期 | 入園選考 | 必要書類(一般的なもの) |
認可保育園 | 国が定める基準を満たしている | 前年度10月・11月~翌年1月 | 定員を超えた場合あり | 支給認定申請書
家庭状況申告書 住民課税証明書 勤務証明書 在学証明書 母子手帳 提出書類確認表 |
認可外保育園 | 国が定める基準を満たしていない | 4月入園の場合前年度、年度途中の場合随時 | なし |
認可保育園のメリットは次の3つです。
- 保育士の数、設備(園舎、園庭、給食設備、防災設備など)が基準をクリアしている
- 保育料が親の所得に応じて決定されるため金銭的負担が少ない
- 月齢に応じた保育室がある
認可外保育園のメリットは次の3つです。
- 在勤・在住・在学の地域に関わらず入園でき入園できる可能性が認可保育園より高い
- 保育時間・保育日数の対応が柔軟で曜日が選べたり夜間・早朝対応も行ってくれたりする
- 認可外保育園にしかないサービス(英語・知育など)がある
初めて子供を保育園に入園させる場合はどのような観点で選べばよいのかわからず不安に思う人もいるかもしれませんが、まずは自分が保育園に求める条件を書き出すなどして整理し、その条件やメリットを鑑みて保育園を探すのが望ましいでしょう。
保育園入園までのおおまかな流れは次の通りです。
①事前相談(保育見学)
②提出書類の準備
③認定申請・入園申し込み
④支給認定証の交付
⑤利用調整会議
⑥内定
⑦面接・健康診断
⑧入園・保育料決定
意外と用意しなければならない書類や手続きが多いため、子持ちの人が転職をすると決めたら保育園の手配は早めに行うことをおすすめします。
子供がけがや病気で体調が急変した際の対応方法を決める
子供は大人と比較すると思わぬけがや病気をすることが多いため、子持ちの人が転職するならその時の対応について決めておくのが望ましいでしょう。
採用する側の企業としても仕事を任せる以上、急な遅刻や早退がどの程度発生するのかを把握しておきたいと考えるためです。
面接時に答えられるように体制を整えておくのも重要ですが、社員の平均年齢や子育て支援をどの程度行っているのかをあらかじめホームページなどで確認し、その企業の子育てについての考え方を理解しておくことが大切です。
転職後のキャリアについて考える
2022年1月に、株式会社ビズヒッツが30代の男女203人を対象に行った転職に関するアンケート調査の結果によると、30代の転職で失敗したことを「面接対策・自己分析をしなかった」と回答した人が203人中17人いました。
30代の転職では、自分が転職後にどのような業界でどういった仕事をしたいのかを明確にしておく必要があるのはもちろん、20代の人と比較するとしっかりとした退職理由や志望動機が求められるためです。
このような後悔をしないためにも、子持ちの人が転職する際には事前にスキルの棚卸しや自己分析をきちんと行い、自分が面接でどのようなことを伝えるのかをまとめておくようにしましょう。
残業は月何時間までできるかを明確にする
子持ちの人が転職する際には残業が月何時間まで可能か、また月に何時間働くことができるのかを面接で回答できるようにしておくことをおすすめします。
最初から残業は一切できないと決めつけるのではなく、話し合いの中で柔軟に対応できることをアピールすれば、企業も仕事を任せやすい人という印象を持ってくれるのではないでしょうか。
今できる自己研鑽はやっておく
株式会社ビズヒッツの行った転職に関するアンケート調査の結果によると、30代の転職で失敗したことを「資格取得・スキルアップをしておけばよかった」と回答した人が203人中12人いました。
子持ちの人がスムーズに転職するためには、企業に対し子供に対する配慮をしてもその人に仕事を任せたいと思わせなければならないため、その根拠となる資格の取得やスキルアップは必須だと言えるでしょう。
参考:Biz Hits「30代からの転職理由と転職活動で失敗したことランキング!男女203人アンケート調査」
子持ちの人がチェックしたい転職先の条件
子持ちの人が転職するにあたってチェックしたい求人の条件にはどのようなことがあるのでしょうか。
5つご紹介します。
家や子供の預け先から近い場所にあるか
転職したい企業の拠点が、自宅や子供の預け先から近い場所にあるかどうかは必ず確認しておきましょう。
通勤時間を節約すれば、その分子育てに時間をかけることができるようになりますし、子供の体調が急変した際にもすぐに駆けつけることができます。
産休・育休が取得できるか
第2子・第3子について考えているなら重要視したい条件です。
2021年6月に育児・介護休業法が改正され2022年4月より段階的に施行されますが、この中で男性が育児休暇を取得しやすくするための新しい制度「産後パパ育休」が新しく創設されます。
子供の出生後8週間以内に4ヵ月まで育児休暇を取得可能とする制度ですが、このような新しい制度を積極的に取り入れていく姿勢のある企業であるかどうかを事前に確認しておくことが重要です。
子育てをしながら働くことに理解があるか
転職を希望する企業には子育てをしながら実際に働いている人がどのくらいいるのか、産休・育休の取得率がどのくらいかをあらかじめ調べておきましょう。
産休・育休の取得率が高い企業であれば周囲の理解も得やすく、仕事をお互いに融通し合うことも柔軟にできるのではないでしょうか。
休みや勤務時間の融通が利くか
シフト制やフレックスタイム制、時短勤務制などを積極的に取り入れている企業で働くと、子育てが各段にしやすくなります。
時間の融通の利く職場で子供と丁寧に向き合いながらも、仕事で実績さえ上げれば役職につくことができて年収アップも見込めるため、働きやすい勤務時間や休暇制度を採用している企業であるかどうかをチェックするのは重要です。
長く働き続けられそうか
子持ちでも子持ちでなくても転職するなら、長くその企業で働き続けられそうかを考えるのは大切なことです。
希望する企業の情報をなるべく多く収集し、子育てとキャリア両方の観点から総合的に判断しましょう。
子持ちの人が転職面接を受ける際に注意したいポイント
子持ちの人が転職面接を受けるにあたって注意したいポイントを5つご紹介します。
履歴書の備考欄に子供について記載する
履歴書には備考欄がありますが、ここにあらかじめ子供の年齢や就業可能時間、行ってほしい配慮について一言書き添えておきましょう。
子供がいるといっても家族や生活の状況に応じて必要とする配慮はさまざまですし、面接当日に子持ちであるということがネガティブに受け取られないためにも、あらかじめ伝えておくのです。
自分を雇用するメリットを伝える
転職面接では、自分を雇用することで企業にはどのようなメリットがあるのかを積極的にアピールしましょう。
資格、即戦力となりうる、効率よく働くことができるなど切り口はさまざまですが、会社にどのように貢献できるかを伝えるのは大切なことです。
子供の預け先が決まっていることを伝える
面接では子供の通常時の預け先、体調不良時の預け先を両方面接で伝えるのが望ましいでしょう。
その上で体調不良時の預け先に子供を預けることができず、自分自身も体調不良になった際は休む可能性があることを伝えるとスムーズです。
緊急時に家族のサポートを受けられることを伝える
子供の緊急時に家族がどのようなサポートをしてくれるのかも具体的に伝えましょう。
夫婦双方の両親などが仕事について理解し、協力する姿勢を見せていることをアピールするのがおすすめです。
子供についての質問には素直に答える
子持ちの人は転職活動の厳しさと受かりたい気持ちから、子供について自分ができないことを質問されると、根拠もなくできるとアピールしたくなることもあるでしょう。
しかし、そのしわ寄せは結局子供と家族に降りかかってきます。
子供について質問された場合、現状を正直に回答し、企業と自分が双方納得の上で転職するようにしましょう。
最後に
子持ちの人が転職する際はさまざまな事前準備が必要になるので、その点は念頭に置いておきましょう。この記事も参考にして、ぜひ自分に合った職場を見つけてみてください。
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