コンサルタントファームの中でも総合コンサルタントは、戦略から実行までを担い、企業の経営課題を「総合的に」解決します。大手ファームの特徴や戦略コンサルタントとの違い、仕事内容や必要なスキルについて解説します。
目次
総合コンサルタントの特徴は?戦略コンサルタントとの違いを解説
コンサルタントファームは、企業が抱える経営課題を解決する専門家集団です。各分野のメンバーそれぞれが高い専門性を活かし、クライアントの経営課題を解決していきます。なかでも、総合コンサルタントは、提供するサービスの範囲が広く、さまざまな案件に対して戦略立案から実行までコンサルティングを行います。
総合コンサルタントの存在や、経営課題に取り組んでいることを知ってはいても、総合コンサルタントが具体的にどのようなことをしているのか知らない方も多いと思います。そこでまずは転職者に人気の戦略コンサルタントと総合コンサルタントを取り上げ、それぞれの違いについて説明しながら、その特徴について解説していきます。
戦略コンサルタントとは?
戦略コンサルタントは、大企業の経営戦略や成長戦略などの立案に関わっています。企業の根幹に関わる課題に対して解決策を示し、その発展を助ける業務を担うのが特徴です。一般に「コンサル」というときは、この戦略コンサルタントが該当するといってもよいでしょう。
戦略コンサルタントファームの例としては、マッキンゼー・アンド・カンパニー、ボストン コンサルティング グループ(BCG)、ベイン・アンド・カンパニー、A.T.カーニーなどがあげられます。いずれもアメリカに拠点をおき、世界の有力企業の持続的な成長を支援するアドバイザーとしてグローバルに活躍しています。
上記のような外資系大手戦略コンサルタントに依頼すると、人月単位が25歳で500~800万円程度と、依頼料がとても高額であることが知られています。戦略コンサルタントのクライアントとなるのは大企業や政府といった大きな組織に限られることから、年齢に関係なく、従業員は有名な大企業の経営者や政府の高官らと対等に仕事できる可能性があるなど、とても大きなやりがいが感じられる仕事といえるでしょう。
総合コンサルタントとは?
一方、総合コンサルタントは、戦略立案だけでなく、組織の改編やオペレーション改善など、さまざまな案件に関与します。幅広い業界をカバーしていて、コンサルティングの対象範囲はクライアントの社内全体。企業トップから一般社員までの経営・業務課題や戦略策定を支援します。
そのため、総合コンサルタントファームは組織規模がとても大きく、多くの従業員や拠点を抱えているのが特徴です。例えば、世界最大級の総合コンサルティングファームとして知られるアクセンチュアの従業員は、全世界で約51万3千人(2020年)と膨大です。世界120以上の国の企業を顧客にもち、世界56カ国、200都市以上に拠点を構えます。
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代表的な総合コンサルティングファームと特徴
総合コンサルタントと聞いて、具体的な社名を思い浮かべる人はどのくらいいるでしょうか?そこで総合コンサルタントの人気5社を取り上げ、その特徴についてご紹介しましょう。
アクセンチュア
アクセンチュアは、世界最大規模を誇る総合コンサルティングファームです。「ストラテジー & コンサルティング」「インタラクティブ」「テクノロジー」「オペレーションズ」の4つの領域からなり、幅広い案件に対応できるような体制を作っています。業界内での存在感は圧倒的で、2000年に株式上場して以来、株価が10倍以上という成長ぶり。従業員数もここ6年でおよそ3倍に膨れ上がっています。
アクセンチュアには従業員を大切にするカルチャーがあるのが特徴です。成果を出そうと奮闘する従業員に対しては、積極的に投資する傾向があります。女性が働きやすい職場環境づくりや、ワークライフバランスの実現にも積極的といえるでしょう。
公式サイト:アクセンチュア
デロイト トーマツ コンサルティング
デロイト トーマツ コンサルティングは、4大会計事務所いわゆる「BIG4」の一つ、「デロイト・トウシュ・トーマツ」を母体とする総合コンサルテタントファームです。世界150カ国、25万人以上の従業員を抱え、経営戦略だけでなく、M&Aなど多岐にわたる専門的なサービスを提供。国内での活動してきた歴史が長いのが特徴で、ここ10年続けて業績拡大を続けています。
戦略の立案から実行支援までをトータルでサポートし、とりわけ税務・財務面での業務改革に強いのが特徴です。日本の有限責任監査法人トーマツが運営に関わっていることから、外資系企業にありがちな特徴である「昇進するか、さもなくば退職するか」のカルチャーが薄く、業界随一といわれる育成制度にも定評があります。
公式サイト:デロイト トーマツ コンサルティング
PwCコンサルティング
PwCコンサルティングは、ロンドンを本拠地とするコンサルティングファームです。世界157カ国に742拠点を展開。27万人以上のスタッフを持つ、世界最大級の総合コンサルタントです。PwCコンサルティングが経営戦略や成長戦略など立案・実行までを包括するコンサルティングサービスを担い、PwCアドバイザリーが、M&Aや事業再生などを手がけるという具合に、メンバーファームが協業して課題解決に取り組んでいます。
アクセンチュアやデロイトと比べるとグローバル色が強めで、海外案件が比較的多いのが特徴です。若いうちから海外支社に駐在するチャンスがあるといえるでしょう。
公式サイト:PwCコンサルティング
KPMGコンサルティング
2014年設立と、いわゆるBig4の中で最も国内での活動の歴史が浅いのがKPMGコンサルティングです。社員数が少ないのが特徴で、他社と比べて個人の裁量権が大きいといわれています。
アドバイザリーは、リスク・マネジメントなどのプロジェクトを担当する「リスクコンサルティング」M&Aや事業再生などを総合的に支援する「ディールアドバイザリー」、戦略からITまで企業変革とプロジェクト実現をサポートする「マネジメントコンサルティング」の3つの部門で事業展開しています。
公式サイト:KPMGコンサルティング
アビームコンサルティング
アビームコンサルティングは、「日本発、アジア発のグローバルコンサルティングファーム」を掲げる日系総合コンサルタント。従業員の勉強会が習慣化するなど、チームワークを重んじる企業カルチャーで知られ、コンサルタントの勤続年数が長いのが特徴です。
アジアを中心に海外ネットワークを構築していて、日系企業のアジア進出を支援する案件を多く抱えています。また、クライアントとの中長期的な関係性の構築を重視している点も特徴として挙げられます。
公式サイト:アビームコンサルティング
総合コンサルタントの仕事内容
総合コンサルタントは具体的にどんな仕事をしているのでしょうか?その仕事内容について業務内容ごとに紹介していきましょう。企業ごとに職位の呼び名は異なるため、ここでは一般的な呼称を用いています。
マネージャー
プロジェクトの責任者としてメンバーを統括します。プロジェクトがスムーズに進行するのが役割で、高いマネジメント力が欠かせません。顧客との交渉なども手がけます。
コンサルタント
マネージャーのもとで、実際にプロジェクトを進行させるのがコンサルタントの仕事です。課題を解決するための仮説の構築や、検証作業などを担当します。
アナリスト
マネージャーやコンサルタントの指示にしたがって、情報収集や分析を担当したり、資料作成を行います。リサーチしたり、資料作成したりするスキルを身につける期間です。
パートナー
共同経営者として、自社が発展するために経営と顧客を開拓するのがパートナーの役割です。顧客となるような企業の経営陣にアプローチをかけプロジェクトを受注するのが仕事になります。セミナーを実施したり本を書くことも顧客を開拓する手段の一つといえるでしょう。
総合コンサルタントに必要なスキル
未経験で転職するケースも多い総合コンサルタントですが、総合コンサルタントになるにはどのようなスキルが必要なのでしょうか?コミュニケーションスキル、思考能力、豊富な専門知識が求められます。それぞれについて詳しくご紹介しましょう。
コミュニケーションスキル
総合コンサルタントには高いコミュニケーションスキルが求められます。とはいえ、一口にコミュニケーションスキルといっても、人によって連想する内容はさまざまではないでしょうか。
総合コンサルタントに求められるのは、「対話から相手の意図や要望を正しくくみとること」といえるでしょう。クライアントが抱えている悩みを正確に理解し、問題の所在がどこにあるかをすみやかに把握できるスキルが必要です。
ロジカルな思考能力
総合コンサルタントには論理的に考える力も不可欠です。経験や勘だけに頼るのではなく、ロジカルに理解し、意思決定することが求められます。
論理的思考を身につけるためには、さまざまなフレームワークを習得し、技術を身につけることが有用といわれています。総合コンサルタントの転職を検討している人は、普段から訓練しておくとよいでしょう。
高い専門知識
実際の業務では、業界に関する幅広い知識が不可欠です。総合コンサルタントはカバー領域が広く、常に得意な分野の仕事ができるわけではありません。新しいプロジェクト開始に際しては、短期間のうちに業界紙や関連書籍などに目を通し、専門家と対等に会話できるくらいの知識を身につける必要があります。
転職市場における需要について
総合コンサルタントは転職希望者が多い業界です。というのも、このところ、コンサルティングファームの多くが大量にプロジェクトを受注していて、人員が不足する傾向にあることがあげられます。
そのため、必ずしも経験者だけが採用されるわけではなく、特定の業界で活躍してきた知識やノウハウを買われ、未経験者が転職しているケースが少なくありません。たとえば、2021年度のアクセンチュアの中途採用の割合は82%と、ほとんどが中途採用者となっています(2021年9月1日時点)。
EC営業や製薬企業の研究員など、コンサルティング業界未経験者も多く、それぞれがバックグラウンドを活かして活躍しています。KPMGコンサルティングでも、正規雇用労働者のうち中途採用が占める比率は89%と高く(2021年6月8日時点)、採用にあたっては必ずしもコンサルティング業界の経験は問われません。
総合コンサルタントには高いスキルが求められますが、未経験者が転職先として挑戦しやすい業界といえるでしょう。
最後に
この記事で説明してきた内容をまとめると以下のとおりです。
この記事のポイント・総合コンサルタントは戦略立案だけでなく、組織の改編やオペレーション改善などにもかかわる
・各社業務内容に大きな違いはないものの、それぞれ独自の企業カルチャーをもつ
・コミュニケーション、論理的思考、企画、専門知識などさまざまな領域で高いスキルがもとめられる
・未経験者でも挑戦できる環境が用意されている
クライアントとなる企業の経営課題を抽出し、戦略や業務の進め方の見直しを提案・改善させるのが、総合コンサルタントです。高いスキルが求められることから、誰にでも務まる仕事ではありませんが、転職先として未経験者にも門戸は開かれています。興味がある人は、ぜひ挑戦してみてはいかがでしょうか。
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