役員が転職する際に注意すべき点とは?成功させるポイントも解説

難しいといわれる役員の転職ですが、決して不可能ではありません。しかし、一般社員層と違い、役員クラスの転職事情はなかなか表には出てこないため、役員転職を成功させるポイントを正しく理解しておくことが大切です。今回は、役員が転職する際に注意すべき点を解説していきます。

役員に含まれる役職とは

会社役員とは取締役や監査役といった経営幹部を指します。一般従業員と比べて職務範囲が広く責任も大きい分、より高い待遇を得られるポストです。ここでは役員に含まれる役職について紹介します。

 

1.代表取締役

代表取締役とは、株式会社を代表する権限を有する取締役をいいます。取締役会を設置している会社では、代表取締役が業務執行にあたります。

 

2.監査役

監査役とは株式会社において取締役や会計参与など役員の業務を監督する役職です。取締役の職務に不正がないかを独自に調査し、取締役会や株主総会で報告したり、不正行為差止請求の権限をもちます。

 

3.会計参与

会計参与は、会社法によって新たに認められた制度で、主な仕事は取締役と共同して計算書類の作成をすることにあります。会計参与には、税務・会計の国家資格を有する者が就くこととなっており、「税理士」「税理士法人」「公認会計士」「監査法人」以外の人は就くことができません。

 

4.執行役

執行役とは、企業や組織において日々の業務として、組織マネジメントを行っている最上級管理職のことを指します。エグゼクティブ・マネジャー、執行委員などと呼ばれることもあります。

 

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役員が転職する際に気をつけたいポイント

役員たる者、会社に迷惑をかけるような退職・転職の仕方は当然避けなければなりません。役員が転職する際に気をつけたいポイントは、「任期途中に転職しない」「同業他社に転職しない」「求人数が少ない」の3つです。ここでは、それぞれのポイントについて詳しく解説します。

 

1.任期途中に転職しない

役員のように、期間の定めのある労働契約では、使用者も労働者もその労働契約期間満了までその契約に拘束されます。実際に、労働契約法では、「期間の定めのある労働契約についてやむを得ない事由がある場合でなければ、その契約期間が満了するまでの間において労働者を解雇することができない」と定めています。そのため、何らかの理由で役員を辞任したい場合でも、任期満了までは業務を遂行するようにしましょう、

 

2.同業他社に転職しない

同業他社への転職は、スキルや経歴を活かしたキャリアアップや、よりよい待遇での転職が望めるため、本人にとっては有力な選択肢のひとつです。しかし、前職の会社にとっては、ノウハウを流出させてしまうことにもつながってしまいます。お世話になった会社の不利益になってしまうことを考慮すると、転職先は同業他社を避けるべきといえるでしょう。もしも同業他社へ転職する場合には、モラルを守って前の会社に迷惑をかけてしまうようなことがないようにしてください。

 

3.求人数が少ない

役員は、同等のポストが少ないため、管理職や一般社員よりも圧倒的に求人数が少ない傾向にあります。また、求人があったとしても希望するポストや報酬などの処遇面で折り合いがつかないことも考えられます。

役員は、企業経営において重要な役割を持つため、新たな人材を迎え入れる際は内々に進めることが多いものです。また、企業の代表を務める「代表取締役」は、その立場や実績に見合うポジションが少なく、転職の難易度は非常に高いといえます。

 

役員転職を成功させるポイント

役員への転職を成功させるためには、採用面接での効果的なアピールや転職エージェントの活用が欠かせません。また、役員限定の求人は多くないため、役員候補などの条件での求人にも目を向けて、役員にこだわらず柔軟に転職活動を進める心構えが重要です。以下では、役員転職を成功させるポイントについて説明します。

 

1.まずは自分の市場価値を把握する

転職活動を始めるにあたっては、自分の市場価値を的確に把握することが重要です。市場価値とは、自分自身のスキル・経験がどれくらいの企業・組織から必要とされるか、という「市場における価値」を意味します。自分の市場価値を把握する方法には、自己分析や職務経歴書の作成、転職エージェントへの相談が挙げられます。特に転職エージェントへの相談は、自分一人ではなかなか客観視しにくいキャリアの棚卸しができるほか、スキルレベルや適正年収などを第三者の目線からアドバイスしてもらえます。

 

2.これまでのキャリアをアピールする

役員からの転職は難しいのは確かですが、逆に役員を経験したからこそのメリットも存在します。役員を経験したからこそ、マネジメントスキルや専門スキル、経営スキルなどを有していることを伝えることができます。

 

このように、役員経験があるからこその視点をアピールしていきましょう。物事を俯瞰して見られていることと、先を考えて仕事ができるのが役員の強みでもあります。さらには、その先の経営者の考えまで理解ができるようになっているのであれば、経営層に近い考えができる人材として、より転職活動を有利に進められるはずです。

 

3.役員の転職に強い転職エージェントを活用する

役員への転職活動を行う際には、転職エージェントの利用がおすすめです。役員としての募集や労務単独での求人はほとんどなく、役員に関連する業務を探す必要がありますが、自分だけで求人の詳細な情報を調べるのは非常に時間がかかります。そのため、転職のプロである転職エージェントの力を借りて、自分のスキルや希望に合った求人を紹介してもらうのが効率的です。

 

4.役員候補などの条件でも良しとする

前述した通り、役員の求人数はとても少ないのが現状です。そのため、役員という職種にこだわりすぎてしまうと、なかなか条件にマッチする企業を見つけられず転職活動そのものが難航しやすくなってしまいます。このような事態を防ぐためには、即役員としての採用ではなくとも、中長期的に役員を目指していくのもひとつの選択肢です。

 

企業側が役員を採用する際に注目するポイント

役員は、一般社員に比べて求められる人物レベルが高く、企業側も採用には非常に慎重な姿勢になります。ここからは、企業側が役員を採用する際に注目するポイントを解説します。

 

1.企業風土と相性が良いか

役員は、経営幹部として企業理念や経営者ビジョンを実現していく責任があります。仮に理念やビジョンに共感できなければ、充実感を持って仕事をすることは難しくなります。これでは自分自身にとっても、会社側にとっても不幸な結果になってしまいます。

 

反対に、経営者や企業風土と相性が合えば、違いに納得感を感じながら仕事をすることができます。加えて、企業風土と適している場合には、社内のコミュニケーションが活発化することにも期待ができるため、採用面接の際には、求職者の雰囲気や人となりにも注目されているのです。

 

2.前職の勤務状況について

役員は会社の意思決定をする重要な役割を担うことから、雇った後に失敗だったとならないように企業は慎重に採用を進めます。特に、「これまでの勤め先の勤務状況がどのようなものであったか」「経歴詐称をしていないか」「犯罪歴がないか」などは厳しくチェックを行います。自社の役員として採用するため、身元の確かな人物でなければならないのはいうまでもありません。

 

役員の転職でトラブルを起こさないためには

役員の転職でトラブルを起こさないためにはには、いくつかの注意点に留意する必要があります。後々、前職とのトラブルに発展しないためにも、ここで役員の転職でトラブルを起こさないためのポイントについて理解を深めておきましょう。

 

1.機密情報漏えいはしない

役員は会社の経営に携わるポストであるため、会社の社外秘の情報を知ることができる立場にあります。そうした機密事項をもってライバル会社に転職などされたら、自社に与える損害が計り知れないことから、役員就任時に委任契約と共に「競業避止契約」を取り交わし、情報流出を防いでいる会社は多いものです。

これは、役員に限らず、会社のメイン業務の研究開発などにかかわっていた管理職などの社員も該当するため、会社によっては入社時に雇用契約のなかにそうした条項を盛り込んでいることもあります。いずれにせよ、転職する際には、自身の雇用・委任の契約の詳細についてあらかじめ確認しておくことが重要です。また、社外秘として得た情報は、いかなる理由があっても、決して漏えいしてはなりません。

 

2.前職の顧客情報の利用はしない

役員は会社のなかで重要情報を握っていることが多いですが、権利が前職に帰属するものはあくまでも前職に置いていくつもりで、下手な流用をしようとしないことが鉄則です。特に、技術的な部分を含め、前職の顧客情などの知的財産権に関わるような内容は、金銭換算した場合に価値が極めて高いことが多く、それに基づくノウハウなども慎重に取り扱う必要があります。

 

3.社員の引き抜きはしない

役員による社員の引き抜きは、前の会社の規定や、引き抜き工作のやり方によっては、コンプライアンス上の問題になり得ます。実際に、過去にはコンサルティング会社の役員による引き抜き行為が「社会的相当性を逸脱し極めて背信的に行われた」と判断され、大きな問題へと発展したこともあります。そのため、元の会社にダメージを及ぼすような行為は控え、円満に退社できるように努めましょう。

 

最後に

今回は、役員への転職が難しいと言われる理由や役員への転職を成功するポイントについてお伝えしました。
役員は会社の業績や、社員一人ひとりのモチベーションに大きな影響を及ぼす、重要な役割です。そのため、他の役職と比較すると転職のハードルは高めで、準備が不十分なままでは、活動が難航しやすい傾向にあります。ぜひ、本記事を参考に役員への転職の理解を深め、転職市場を勝ち抜いてください。

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この記事を書いた人

みんなのエージェント 編集部

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