医療機器メーカーとは

メーカーや医療分野への転職を希望する方の多くが、一度は転職を検討することのある医療機器メーカー。医療機器メーカーでは、民間企業でありながら医療現場に携わることができ、やりがいを感じながら仕事をしたい人に人気の業界です。

医療機器メーカーの職種や転職事情を解説する前提として、ここでは医療機器メーカーの定義やMR職との違いについて見ていきます。

医療機器の製造および販売を行う

医療機器メーカーとは、病院やクリニック、健康診断センターなどの医療現場で使用される医療機器を製造および販売する業種です。CTやレントゲン装置、ペースメーカーなどの大型医療機器をはじめ、注射器やメス・ピンセットなどの小型医療機器に至るまで、非常にさまざまな製品の開発を行っています。

また医療機器メーカーは、医療現場でニーズの高い医療機器を設計・開発し、医療従事者に対して製品の特徴や使用方法を説明するとともに販売、また医療機器導入後の保守対応や問い合わせ対応も行います。そのため、医療機器を開発する研究開発職や医療従事者に提案営業を行う営業職、アフターフォローを行う営業支援職など、医療機器メーカーの職種は多岐にわたります。

BtoBのビジネス形態がほとんど

医療機器メーカーの主な顧客は、病院やクリニックなどの医療機関です。そのため、一般消費者に対して販売を行うBtoCビジネスではなく、医療機関に勤める医師や看護師、臨床検査技師に提案営業を行うBtoBビジネスのかたちを取ります。

MR職との違い

医療機器メーカーの営業職と混同されやすい職種にMR職があります。どちらも営業職であり、営業対象が医療現場という共通点がありますが、MR職は医薬品を販売するという違いがあります。MR職は医師や薬局に対して、自社が販売する医薬品の効能・効果や用法を説明して提案営業を行います。

また、公的資格がなくても働ける医療機器メーカー営業職とは異なり、MR職はMR認定資格を取得しないと医療機関での営業ができません。つまり、販売の対象となる商品と資格の必要性という2点において、MR職と医療機器メーカーの営業職は大きく異なります。

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医療機器メーカーの主な職種

医療機器メーカーと一口に言っても、多くの企業と同じようにさまざまな職種が存在しています。それでは、医療機器メーカーの主な職種は具体的にどのようなものなのか、詳しく解説していきます。

営業職

医療機器メーカーの営業職は、病院やクリニック、健康診断センターなどの医療機関に対して、自社の医療機器を提案します。

テレアポや飛び込み営業などの新規開拓営業をするケースは少なく、基本的には既存顧客の医療機関に対してルート営業を行います。しかし、患者の診療で忙しい医師に営業のアポイントメントを取り付けるのは難しく、一般的なルート営業よりも根気が要る仕事です。一方で、健康診断センターに対して営業する場合は比較的アポイントメントが取りやすいと言われています。

また、医療機器の提案営業と販売だけではなく、機器の操作方法や取り扱いについて詳しく説明を行ったり、機器の故障時にはトラブル対応を行ったりします。そのため、コミュニケーションスキルに加えて、医療機器の取り扱いに関する深い知識と理解が必要です。

営業支援職

医療機器メーカーの営業支援職は、カスタマーサポートやサービスエンジニアなどと呼ばれ、顧客である医療機関に対して医療機器の操作方法やメンテナンスに関するサポートを行います。営業支援職では、医療機器のスペシャリストに与えられる臨床工学技士の資格を持つ従業員が多く、提案営業の際に同行して専門的な説明を行う場合もあります。

研究開発職

研究開発職は、医療現場の現状や最先端の医療技術について研究を行い、新しい医療機器の開発や既存機器の改良を行う仕事です。機械に関する知識に加えて、医療分野に関する豊富な知識が求められます。そのため、工学部や医学部の大学院から、医療機器メーカーの研究開発職に就く人は多いです。また、研究開発職の求人では臨床工学技士の資格必須としているものが多いため、ほとんどの研究開発職がこの資格の保有者です。

事務職

他の民間企業と同様に、医療機器メーカーにも人事や総務などの事務職が存在します。医療機器メーカーで働く従業員が快適に働けるように職場環境を整えたり、研究開発に必要な資金調達を請け負ったりします。直接は企業の売上につながりませんが、研究開発や営業の現場をサポートして、間接的に売上アップに貢献する重要な仕事です。

医療機器メーカーへの転職で求められるスキル

ここまで紹介した通り、医療機器メーカーにはさまざまな仕事が存在し、職種ごとに求められるスキルは異なります。しかし、どの職種であっても、医療関連の知識やコミュニケーションスキルは欠かせません。ここでは、医療機器メーカーへの転職で求められるスキル全般について見ていきます。

医療関連の専門知識

医療機器の研究開発を行う仕事ではもちろんのこと、営業職でも営業支援職でも医療分野の専門知識が求められます。自社製品については入社後にしっかり勉強すれば良いですが、転職希望先が進出している医療分野についての基本的な知識や現状を転職前に学んでおく必要があります。

医療機器メーカーへの中途採用面接では、医療関連の知識をアピールすることで、即戦力人材として評価されるだけではなく、仕事への熱意や学ぶ姿勢を面接官に伝えられるはずです。

コミュニケーションスキル

自分の意見や商品説明をわかりやすく伝える力や、相手のニーズや本音を引き出す聞く力などのコミュニケーションスキルは、医療機器メーカーのすべての仕事で必要とされるスキルです。

特に営業職の場合、限られた時間の中で顧客との関係性を築き、適切な医療機器の提案を行います。相手の立場に立ってニーズを見抜き、一人ひとりの顧客に対して的確なアプローチを行うコミュニケーションスキルが必要です。

研究開発職は臨床工学技士が必要

研究開発職は多くの場合、医療機器のプロである臨床工学技士の資格が求められます。さらに、医療機器メーカーの研究開発職はほとんどが理系の大学院卒です。そのため、いずれの条件も満たしていない人が研究開発職に転職するのは至難の業です。

実務未経験者の方や臨床工学技士の資格を持っていない方が医療機器メーカーへ転職する場合、研究開発職以外の職種を狙うことをおすすめします。

営業職は普通自動車免許が必要

営業職が営業に出向く際には、医療機器を運んだり、交通の便が悪い場所へ移動したりする必要があります。そのため、営業職では社用車を運転できる普通自動車免許が必須です。また、外資系医療機器メーカーでは免許が停止されると解雇となる場合もあるため、くれぐれも安全運転には注意してください。

医療機器メーカーへの転職時のポイント

医療機器メーカーの中でも、研究開発職への転職は難しく、未経験者の場合は営業職や事務職を狙うのがおすすめです。また、自分の適性を見極めた上での企業探しが欠かせません。それでは、医療機器メーカーへの転職を成功させるポイントについて解説します。

日系企業と外資系企業の違いを意識する

医療機器メーカーへの転職時には、日系企業と外資系企業の違いを把握した上で、自分の希望や適性に合う企業を選ぶようにしてください。

例えば、外資系はノルマが求められる一方で高年収、日系はノルマをあまり求められないが給与が比較的低いといったように、労働環境は大きく異なります。また、人工呼吸器やカテーテルなどの治療系医療機器に強い外資系、MRIやCTなどの診断系医療機器に強い日系という違いもあります。

幅広い医療分野の中でも、自分は具体的にどの分野や医療機器に携わりたいのか、またどのような働き方を希望するのかを明確にした上で、日系企業と外資系企業のいずれかに絞るのがおすすめです。

製品力のある中小企業にも目を向ける

医療機器メーカーの中小企業の中には、大手メーカーほどの営業規模や販売力がない一方で、競合他社と差別化をできるニッチな製品を有する企業が多く存在します。こうした製品力のある中小企業には大手ほどの売上高はありませんが、多くのビジネスチャンスに恵まれて高い利益率を誇ります。

大手の医療機器メーカーは求人条件が厳しい上にライバルが多く、採用のハードルは高いです。そのため、大手だけではなく製品力のある中小企業にも目を向けて、転職活動の幅を広げるようにしてください。

業界未経験者は営業職や事務職を狙う

研究開発職の求人では、理系の大学院卒以上が応募資格とされており、なおかつ後期課程を修了していなければ採用されにくいものです。そのため、この条件に当てはまらない業界未経験者の場合、営業職や事務職を狙うようにしてください。

営業職であれば、業界未経験者や他業界の営業職経験者を積極的に採用しているため、比較的チャレンジしやすいと言えます。また、事務職はどの業界でも業務内容がそこまで変わらないため、事務部門の経験者は重宝されやすいです。

転職エージェントを利用する

医療機器メーカーは、数ある製造業の中で特に専門性の高い業種であり、転職のプロである転職エージェントに求人が集まりやすいと言えます。そのため、医療機器メーカーへの転職を希望する場合、まずは転職エージェントを利用して求人情報を得るのがおすすめです。

また、転職エージェントでは、医療機器メーカーへの転職を有利にするコツの伝授や書類添削を受けられます。転職活動をスムーズに進めるため、転職エージェントを利用してみてはいかがでしょうか。

最後に

医療現場に携わる仕事で、やりがいを感じられる医療機器メーカーの仕事。医療技術の発展に伴って急成長している分野のひとつでもあり、メーカーへの転職を希望する方におすすめの業界です。

研究開発職や大手メーカーは採用のハードルが比較的高いため、業界未経験者が医療機器メーカーへの転職を目指す場合には、製品力のある中小企業や営業職・事務職を狙ってみてはいかがでしょうか。

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