異業種への転職は難しいのか？

異業種転職とは、業界を変えて転職することを示しています。

例えば、製造業から小売業へ、といった転職です。そのほか、自動車業界からIT業界へ、などの細かい産業区分の変化も異業種転職だと見なされることもあります。

結論としては、異業種転職はそれほど難しいものではありません。
・それほど珍しいものではない
・職種も変えると難易度は上がってしまう可能性がある
・ポータブルスキルをアピールする
上記をポイントとして押さえておきましょう。

異業種への転職は珍しいことではない

2020年にリクルートキャリアが行った調査によると、異業種への転職は67.4％にも昇るとのことです。
（参考：【転職決定者データから見る】2020 中途採用市場）

つまり、転職者のうちおよそ7割もの人たちが業種を変えて転職しているのです。珍しいことではない、というどころか、むしろポピュラーな行為であると言えるでしょう。

職種も変えると長期化する可能性も

異業種への転職は比較的一般的なことであるということは分かりました。

ですがここで、業種の変化に加えて異職種への転職も重なると、転職期間が長期化してしまう可能性があることはお伝えしておきましょう。

第二新卒期から20代後半までであればそれほど関係ありませんが、それ以降となると転職活動の長期化が顕著になりがちです。ある程度キャリアを重ねてからの転職なので、それまで積み上げてきた業界経験と職種経験、その両方を投げ捨ててしまうかのように映ってしまうためです。

・なぜ業種を変えるのか
・業種を超えて活用できる、自分がもっているスキルは何か
・なぜ職種も変える必要があるのか
・以前の職種で培ってきたスキルがどのように次の職種で活かせるのか
・異なる業種、異なる職種だった自分を採用することの企業側のメリット
業界に加えて職種も変えるなら、上記をそれぞれ説明できるように準備しておく必要があります。

前半の4つは、同業種、同職種から転職を希望する他の候補者と同じ位置に並ぶための説明です。
最後の1つは、ほかの同業種、同職種からの転職者にはない強みとなります。

能力の抽象化が鍵となる

業界を変えて転職すると、それまで培ってきた具体的な経験が役に立たないことが多々あります。
例えば、〇〇というプロジェクトを成功させた、売上を〇倍にした、といった業界特有の経験です。

そのため、経験そのものではなく、その経験から何を得られたのかを抽象化して説明できるようになっておかなければなりません。

ここで重要になるのが、ポータブルスキルという概念です。ポータブルスキルとは、どのような業種、職種でも共通して活かせる、汎用性が高いスキルのことです。
コミュニケーション能力や論理的思考力、折衝力などがそれに当たります。

何かの経験をアピールするのではなく、その経験で得られた体験を抽象化し、身についたポータブルスキルをアピールするようにしましょう。

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年代別に知っておきたい異業種転職の特徴

ここからは、異業種に転職する際に覚えておきたいポイントを年代別に見ていきましょう。

20代、30代、40代で、それぞれ気をつけるべきポイントが変わってきます。
具体的には以下のような特徴があります。
・20代ではそれほど気にしなくていいが勝負するポイントは明確にする
・30代ではポータブルスキルを中心に前業種とのシナジーを説明する
・40代ではマネジメントレイヤーとしての経験をアピールする
それぞれ詳しく見ていきましょう。

20代での異業種転職では勝負ポイントを明確にする

20代であれば、異業種への転職はそれほど珍しくありません。キャリアチェンジのために、転職するたびに業種が変わるということも良くあることでしょう。

自分のなかに「なぜその業種へ転換するのか」という軸をしっかりもっておけばそれほど問題はありません。論理的な理由があれば人事へ説明もしやすいですし、キャリア形成において軸がブレてしまうこともないでしょう。

その代わり第二新卒から20代後半までは、フレッシュさやポテンシャルが重視されます。ポータブルスキルのなかでどのようなポイントを自分の強みとするのかは決めておきましょう。

30代での異業種転職ではポータブルスキルとシナジーを強調

30代になると、それまである程度はキャリアを積み上げてきている、と考えられます。

異業種でも通用するポータブルスキルを身につけてきたことを経験を交えて説明できるようになっておくことは、最低限です。
そのうえで、「転職先の業界で、自分が前の業界で培ってきた経験がどのように活かせるのか」というシナジーを説明できるようになっておきましょう。

30代の中堅社員を採用する際には、それなりに企業側にも覚悟が必要となります。
業界同士が交わることによる相乗効果が望めないのなら、同じ30代の社員を採用するのであれば同じ業界からの転職者を受け入れたほうが間違いがなく、無難であるためです。

なぜ、あえて異業種からの転職者を採用すべきなのかを論理立てて強調できるようになっておきましょう。

40代での異業種転職ではマネジメント経験が重要

40代で異業種に転職する際は、もはや技術職や専門職などの経験がものをいうタイプの職種に転職するのはなかなか難しいでしょう。

ですが例えば、もっと将来性がある業界に行きたい、ずっと気になっていて関わりたかった業界がある、といった理由で40代から異業種への転職を考える場合もあります。

そんなときは、最上級のポータブルスキルとも言えるマネジメントスキルをもって管理職に転職するのがもっとも成功しやすい方法です。

業界ごとに決められた細かい作業内容や業務手順を覚えるのは難しいかもしれませんが、管理職として必要なノウハウはどのような業界でも一貫しているためです。

逆に、マネジメントスキルをもたないまま一人の作業者として異業種に転職する場合は、新卒社員や未経験者と肩を並べて一から学び直す必要がある、ということを覚悟しておきましょう。

異業種転職を成功させるために覚えておきたいこと

異業種転職では、いくつか意識しておいたほうがより良い転職につながるポイントがあります。
・なぜ業種を変えるか言語化できるように分析しておく
・業界は幅広く調査する
・第三者の意見も聞き、公平にジャッジする
上記を覚えておきましょう。

なぜ業種を変えるのかを説明できるようにする

業種を変えて転職するのは、今の業種では達成できない目標があり、それをかなえるためであるはずです。

何をかなえたいのか、どうやってかなえるつもりなのかなどを整理して、説明できるようにしておきましょう。

これができていないと、選考の場で説明できないだけでなく、自分のなかで軸がブレてしまい、当初の目的とは異なる業種に転職して後悔してしまうことにつながりかねません。

幅広い業界を調査してから転職業種を決める

「この業界がいい」と決めてしまうのも手ではあるのですが、もう少し視野を広くもっておいたほうが、結果的に成功する可能性は高くなるでしょう。

年収をアップさせたい。休日を増やしたい。コミュニケーション能力をもっと鍛えたい。好きなジャンルの仕事に関わりたい。
さまざまな目的があると思いますが、はたしてその目標を叶えられるのは、「次に目指している業界だけ」なのでしょうか。それらは今目指している業界とは別の業界でもかなえられる可能性があります。

次の業界を絞り切って転職活動をする前に、広い視野で可能性を探ったほうが良いのは間違いありません。

なぜ転職先の業種を選んだかも重要

今の業種では目標を達成できない、という理由は多くの人が思いつきます。

ですがそれだけではなく、次の業種に変えることで、なぜ目標を達成できるようになるのかを説明できるようになっておきましょう。

これを説明できないと、「その目標だったら、別の業界でもいいですよね？」と聞かれた際に答えに詰まってしまうことになります。

第三者の手を借りることも視野に入れる

しっかりと説明できる程度まで自己分析を行う必要があり、そのうえでさまざまな業界の研究もしなければならないため、少し調査にかかる負担が大きくなってしまいます。

また、まったくの異業種のことは知らないことが多く、そもそも知らないため自分にとって最適な異業種がどこかにあったとしても候補として挙げることすらできない可能性もあります。

そこで、転職サイトや転職エージェントなどの第三者の手を借りることも検討してみましょう。

転職サイトには業界の特徴が詳細に記載されていますし、口コミなどが掲載されている場合もあります。
また転職エージェントはいくつかの業界に詳しいという方もいます。むしろ、何か一つの業界のことだけしか知らないという特化型のエージェントはそれほど存在していません。

そういった自分の知識以外の知見を得る場を利用することで、より成功の可能性を高められるのではないでしょうか。

最後に

この記事で説明してきた内容をまとめると以下のとおりです。

この記事のポイント
・異業種に転職するのは珍しいことではない
・異業種転職のポイントには年代別に特徴があるので、自分に合った年代の特徴を意識しておく
・なぜ業界を変えるかを言語化しておく

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