なぜ自己分析するのか
就職活動の際に自己分析を行った経験がある方もいるでしょう。
「自己分析」というと大仰な行為のように感じられますが、実際は自分の状況を整理して言語化しているに過ぎません。
ですが自分のことだからこそ意外と分からないことがあるものです。指摘されることがなければ、思い込みを払拭するのが難しいということもポイントです。
転職活動のために自己分析を行うなら、そのための目的と手法を明確にしてから行いましょう。
転職で自己分析する理由は、主に以下のとおりです。
・自分の状況を自分で理解するため
・自分の強みも見えてくる
・志望企業の選定にも使える
それぞれ詳しく見ていきましょう。
前提は自分の状況を自分で理解するため
自己分析を行うための最大の理由は、やはり自分のことを理解するためです。自分のことは自分が一番分かっていると感じるでしょうが、それは誤りです。
マーケティングなどで消費者の行動を観察する際に、「消費者インサイト」という言葉が使われることがあります。
消費者が何か購入したり行動を起こしたりすることには何かしらの原因があるはずです。ですが、実際に消費者に「なぜその商品を買ったのか」とインタビューしても、自分が行った行動であるにも関わらず、詳しい理由を答えることができないケースもあるのです。
このような、本人すらも気づいていない動機や言語化されていない本音のようなものを「インサイト」と呼びます。
転職においても、インサイトのようなものがあります。自分の心の状態や現状のスキル、どういった結果になれば満足なのか。そういった本音を、漫然と理解することは難しいのです。
言わば「転職における自分のインサイト」を見つけ出す必要があります。それが、自己分析を行う最大の理由です。
自分の強みも見えてくる
スキルや心情を整理すれば、自ずと自分の強みが見えてきます。
例えば、「コミュニケーションを行うのが得意ではない」というスキルの分析ができたとします。ですがそれは、裏を返せば「自分の興味が内向きになっている」または「人間とのコミュニケーション以外に強い興味がある」というだけかもしれません。
つまり、何かを分析したり研究したりするような能力が高いという強みが見えてくる可能性があります。
実際は上記のように単純なものばかりではありません。ですが、長所と短所は表裏一体です。深く分析していくことで、今まで見えなかった強みを発見することにもつながります。
志望企業の選定にも使える
自分の本音を列挙し、なおかつスキルも分かってくると、自分とマッチしやすい企業や業界を導きやすくなります。
転職サービスを活用すれば応募は簡単にできますが、できれば無駄な応募に労力を割きたくはないものです。確実性がありマッチ度が高い企業に絞って応募したほうが、結果的に転職活動を成功させる可能性は高くなるでしょう。
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自己分析の前段階ですべきこと
自己分析で使えるフレームワークをいくつか後述しますが、その前に準備しておくことがあります。
まずは、分析に使うためのネタを出す必要があるのです。フレームワークに当てはめながらではなく、ある程度の要素を羅列し、それらを整理しながら使いやすいフレームワークに落とし込むほうがスムーズだからです。
・自分の情報をとにかく書き出してみる
・抽象化、具体化、根源の深掘りをする
・得意/不得意と好き/嫌いでマトリクスを描いてみる
上記をもとに解説していきましょう。
自分の情報をとにかく書き出してみる
まずは自分に関するネタ出しの、さらに前段階のような行為をします。
今の仕事について思うこと、転職してかなえたいこと、どんな経験をしてきたか、どんなスキルがあるか、そういった思いつくことをとにかく全部書き出してみましょう。
自分一人で、「自分の仕事についてどう思うか」を列挙するブレーンストーミングを行うようなイメージです。
ここでは、人事には言いにくいような素直な本音も、一見相反するように感じる欲求も、あやふやな記憶もすべて書き出してみましょう。
抽象化、具体化、根源の深掘りをする
上記で挙げた自分にとっての情報を、それぞれまとめながら抽象化、具体化、根源の深掘りをしてみましょう。
例えば「休みがもっとほしい」と「もっと働きたい」という一見すると相反するように感じることを挙げたとします。
「休みがもっとほしい」を具体的にすると、年間120日以上の休日がほしい、となります。
根源を深掘りすると、「仕事で疲れているからもっと休みたい」ことが理由かもしれません。もしそうなら、根源的な欲求は「休みがほしい」ではなく「疲れない仕事がしたい」かもしれません。
あるいは「休みにもっと遊びたい」ことが理由であれば「遊びに使うためにもっとお金がほしい」という欲求につながるかもしれません。そうであるならば、「もっと働きたい」という欲求と同時に成立しうる欲求なのではないでしょうか。
このように、それぞれの情報を分解してみると別の視点が見えてきます。
得意/不得意と好き/嫌いでマトリクスを描いてみる
自分のスキルや仕事に関して、先ほど挙げた情報も活用しつつ以下の4つの枠に振り分けてみましょう。
・得意で好き
・不得意だけど好き
・得意だけど嫌い
・不得意だし嫌い
一番分かりやすい成功例は、「得意で好き」な仕事ができる職種で転職できることです。
「不得意だけど好き」は、スキルを伸ばしていけば「得意だけど好き」にできるかもしれません。
「得意だけど嫌い」は、割り切って仕事にできるかもしれません。どの程度嫌いで、例えばどの程度の待遇ならば妥協できるのかなどを挙げていきましょう。
「不得意だし嫌い」なものは、それを仕事にしないほうがいいでしょう。
これらで判明したことも使いながら、以降のフレームワークに移りましょう。
自己分析で使えるフレームワーク3選
自己分析の準備が終わったら、次はそれらの情報を使って実際に自己分析していきます。
・「WILL」「CAN」「MUST」
・感情曲線(モチベーショングラフ)
・マインドマップ
いくつも手法はありますが、ここでは有名でなおかつ使いやすい、上記の3つについて説明していきます。
「WILL」「CAN」「MUST」
自分の状態を「WILL」「CAN」「MUST」の3つで確認するフレームワークです。
WILL:こうなりたい。将来の目標やこうありたい自分のようなもの
CAN:自分にはこれができる。仕事におけるスキルのようなもの
MUST:これをやらないといけない。任されている仕事などのようなもの
現状で「CAN」と「MUST」が合っているなら、できることとすべきことが合っている状態です。ここに乖離があると仕事がそもそも完了できないでしょう。「MUST」が「WILL」につながっていない仕事をしていると苦痛を感じます。
また、「MUST」には「WILL」をかなえるために必要なことも設定しておくことをおすすめします。
例えば、「WILL」のなかに「管理職になりたい」とあるならば、「MUST」のなかには「マネジメント能力を磨き、経験を積まないといけない」と入れておく、といった具合です。
そうすることで、転職の際に企業を決めたり、自分の成長させたい能力(もっと広げたい「CAN」)を見極めたりするためにも使うことができるようになります。
感情曲線(モチベーショングラフ)
これは、実際に手元に白紙を置き、ペンを使って書き込みながら行うことがおすすめです。
まず、「自分の人生(何歳か)」を横軸にし、縦軸には「そのときの幸福度」を設けます。
それぞれ今までの年齢に沿って、何歳のときの幸福度はどの程度の高さだったか、という点をプロットしていきます。
その点をつなぐことで、これまでの人生を通して「どのような感情の上下が起こったのか」を可視化したグラフが完成します。
感情が上下しているのには、なにかしらの理由やイベントが関係しているはずです。そのイベントがどう影響したかを確認することで、自分がどのようなことに何を感じるのかを理解できます。
すなわちこのフレームワークによって、何によってモチベーションが上がるか、または下がるかを説明できるグラフを作ることができるのです。
マインドマップ
前述した、「抽象化、具体化、根源の深掘り」を可視化するような作業がこちらです。
これも、実際に手元に白い紙を用意して描き込みながら行うと良いでしょう。
まずは紙の中心に「自分」と書きます。
そして自分を中心に、仕事に関して思っていることや感じていることをどんどん書き足していきます。
例えば「楽な仕事がいい」という項目を書いたとしたら、そこから線を伸ばし、なぜそう思うのか、具体的にどういう仕事なら楽だと思うのか、などを書き足していきます。
これを続けていくと、自分を中心にいろいろな情報が線でつながった、「自分がどう考えているのか」というマップができるのです。書き足す際の情報には、前述の自己分析準備で用意したネタのメモを活用しましょう。
マインドマップの利点は、一目で自分が何を考えているかを可視化できることにあります。何か行き詰まったりした際にもこれを見て振り返れば、自分の軸を思い出すことができるはずです。
最後に
この記事で説明してきた内容をまとめると以下のとおりです。
この記事のポイント
・自己分析は、自分ですら見えていなかった自分の本音を知るために行う
・事前準備として、情報の列挙と整理を行っておくとスムーズに自己分析できる
・自己分析には「WILL」「CAN」「MUST」、感情曲線(モチベーショングラフ)、マインドマップといったフレームワークを使うと便利である
自分のことは自分が一番分かっているはずだと、高をくくって自己分析を疎かにしてしまうのはリスクがあります。
転職後に、いざ「自分でも気づかなかった自分の本音」に気づいた際、その場で後悔してしまうことになりかねないためです。
勢いで転職して後悔しないよう、まずは一旦落ち着いて、自己分析をしてから転職活動を進めてみることをおすすめします。
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