転職する人の主な理由を3つ紹介
転職とは、大きな負担を伴う行為です。転職活動をしなければならず、いざ採用されれば働く環境も仕事内容にも変化があり、適応しなければなりません。
どのような理由があって、大きな人生の転機となる転職という行為を選択するのでしょうか。
人が現状を変えるために行動する理由は、結局のところ、不満を解消し自分の理想に近づけたいためです。転職もその前提から外れていません。
では転職につながる理由には、どのような不満が挙げられるのでしょうか。代表的な3つについて解説していきます。
職務の内容に対する不満
まず挙げられるのは、自分の職務・業務内容そのものに対する不満です。
・現在の職種が希望と異なる
・希望した職種で配属されたが、思っていたのと違うので変えたい
・任される仕事にやりがいを感じない
・仕事の難易度が難しすぎてついていけない
・仕事の難易度が簡単すぎて退屈である
上記のように細分化することができます。
仕事とは就業時間中に常に向き合うことになるわけですから、これに対する不満があると、やはり転職という意思決定につながりやすいのではないでしょうか。
職場の環境や人間関係に対する不満
次に挙げられるのが、職場環境に関する不満です。人間関係や就業時間などに関する不満もここに含まれます。
・上司/同僚との関係が悪い
・職場そのものの雰囲気がギスギスしている
・残業が思っていたよりも多い
・職場が遠い
・職場の気温が暑い/寒い
・設備が古い
上記のような例が挙げられます。
「人の悩みは人間関係の悩みがほとんど」という話を聞いたことがないでしょうか。いくら仕事内容が自分に合っているとしても、上司や同僚との関係が悪ければ、居心地が悪くなってしまいます。
また残業が多いなど、自分が望むワークライフバランスを妨げる要素も不満の対象になりやすいものです。
そしてハラスメントが横行しているといった場合であれば、転職に関して肯定的な意見をもっていない人であっても、すぐにその職場から距離を置くことに異を唱えることはないでしょう。
福利厚生や待遇に対する不満
最後が、待遇面に関する不満です。
・給与が少ない
・休みが少ない
・昇給/昇給しにくい
・評価制度が合っていない
・福利厚生に満足できない
上記のような不満が例として挙げられます。
なかには、給与が低いため残業代を当てにしなければやっていけないが、そうすると残業が増えてワークライフバランスが望むものでなくなる、といった複合的な場合もあります。
仕事にやりがいなどを求めず、生活費を稼ぐ行為だけを期待している人も大勢存在します。そういった方たちは、いくら仕事がやりがいがあるものになったとしても、こうした待遇面の不満を抱いたらすぐに転職を決意する傾向があるのではないでしょうか。
厚生労働省の発表も参考に
不満をもちやすい3つの要素として、仕事内容/職場環境/待遇の3点を見てきました。
これらは、厚生労働省が発表している、仕事を辞めた理由とも合致しています。
男性が仕事を辞めた理由の上位は以下のとおりです。
1位:給料等収入が少なかった(9.4%)
2位:職場の人間関係が好ましくなかった(8.8%)
3位:労働時間、休日等の労働条件が悪かった(8.3%)
同じく、女性が仕事を辞めた理由の上位は以下のとおりです。
1位:職場の人間関係が好ましくなかった(13.3%)
2位:労働時間、休日等の労働条件が悪かった(11.6%)
3位:給料等収入が少なかった(8.8%)
参考:『厚生労働省発表 令和2年雇用動向調査結果の概況』
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/koyou/doukou/21-2/dl/gaikyou.pdf
(その他の理由と、契約満了による離職は順位から除いてあります)
いずれも、職場環境と待遇による理由で3位までが独占されています。
仕事内容に関する理由は「能力・個性・資格を生かせなかった」「仕事の内容に興味を持てなかった」という2つに細分化されて記載されています。
上記2つを合計すれば、仕事内容に関する不満も3位以内に入る計算になります。
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なぜ転職の際には転職理由が重要視されるのか
転職する際、次の会社に就職するための採用選考で話題になるのが、離職理由・転職理由です。
なぜ企業の人事は、能力だけでなく転職理由を重視するのでしょうか。ここでは、2点の理由を中心に解説していきます。
何を重視する人なのか知りたいから
転職が本人の負担になる重大な決意である、という点は前述したとおりですし、それほど違和感がないのではないでしょうか。
転職者が、そんな重大な決定をする背景に、どんな理由があったかを知ることで、人間性や人となりを知ることができます。
仕事へのモチベーション重視なのか、待遇に気を使っているのか、「辞める」ほどの決意をした理由はなにか、それをもとに探ろうとしているのです。
中途社員はすでに社会人としての基礎ができ上がっているため、新卒社員と比較して思想教育がしにくいという背景があります。
会社の色に合った考え方に育成することが難しいため、もともとの人柄が会社に合っているか否かが、新卒採用よりも重視される傾向があるのです。
前職と同じ理由で辞める可能性があるかを知りたいから
人事担当者は、せっかく採用してもまたすぐに辞めてしまうのではないか、という懸念を払拭したいと思っています。
そのため、どのような不満を感じて前職を辞める決意を固めたのかに大いに注目しているのです。
例えば、残業時間に不満があって転職を決意した候補者がいたとします。自社がその前職と同じくらいの残業時間だったとしたら、また同じ「残業時間が長い」という理由で辞めてしまうのではないか、という懸念が生まれるでしょう。
こういったミスマッチを防ぐため、転職理由に注意を払います。
また、候補者がどの程度、自社に対して企業研究を進めているのか、その度合いなども同時に見極めることができます。
例に挙げた残業時間が理由で転職を決意した候補者であれば、自社の残業時間が辞める会社の残業時間と同じであることにまだ気づいていません。それでは、企業研究が浅いと感じてしまうかもしれません。
転職理由を聞かれた際の書き方・答え方
採用側が転職理由に注意を払っているのは前述のとおりです。
では、転職者側は履歴書での書き方や面接での答え方にどのように気をつければいいのでしょうか。
ここでは、転職理由を聞かれた際の書き方や答え方について解説していきます。
まずは自分が何を解決したいかを言語化する
採用選考における書き方や答え方を考える前に、まずは大前提として、自分がなぜ転職を決意したのか、しっかりと整理しておきましょう。
自分のなかでは感情的/感覚的に分かっているつもりでも、それを他者にも理解できるように説明するのは難しいものです。
転職の理由に「なんとなく」という理由を挙げる方もいるのですが、実はそれは心情を言語化できていないだけ、という場合もあります。
前述した3つに大別される不満要素である仕事内容/職場環境/待遇に目を向けてみると、分析しやすくなります。
転職理由をできる限り書き出し、順位付けする
自分のなかで解決したい不満が言語化できたなら、次にそれらを書き出してみましょう。
・給与が低い(年収として最低でも50万円アップさせたい)
・残業時間が多い(週に2時間程度ならOK)
・上司とそりが合わない(細かく口出しをされたくない)
上記のように書き出してみてください。これは一例で、もしかしたら実際はもっと不満は多いかもしれません。
書き出せたら、次に今回の転職で一番実現したい、重要だと考えるものに順位付けしてみましょう。
<例>
1位(50%):給与が低い(年収として最低でも50万円アップさせたい)
2位(35%):上司とそりが合わない(細かく口出しをされたくない)
3位(15%):残業時間が多い(週に2時間程度ならOK)
また上記のように、転職を決意するに至った不満として、100%中の何%を占めるのか、その重みを設定してみるのも効果的です。
重みを設定すれば人事に説明しやすくなる
例えば面接で、「残業時間に不満を感じたそうですが、弊社はあなたの前職と同じくらい残業があります。同じ不満をもちませんか?」と聞かれたとします。
自分のなかで順位付けができていれば、「今回の転職では給与アップでき、良好な人間関係を築けそうだと感じています。その二つが達成できれば、残業時間は前職と同じでも問題ないと思います」といった返答が可能になります。
理由の順位付けは、転職候補の選定に有効なだけでなく、人事に説明しやすくなるという追加の利点もあるのです。
ポジティブな理由に変換する
最後に、なるべく書き方をポジティブなものに変換しましょう。
「職場に不満がある」と聞くとネガティブに聞こえるかもしれませんが、不満とは改善したいという意思の表れでもあり、ポジティブな行為に言い換えることができます。
・給与が低い→仕事に対して正しい額の報酬ではないと感じる→正当な評価制度の下で働きたい
・上司に細かく口出しされたくない→もっと決定権や裁量権がほしい→信頼して任せてくれる環境に身を置きたい
・残業時間が多い→ムダな作業が多いと感じる→もっと効率的に業務を遂行したい
ただの不満のままだとネガティブに聞こえて印象を悪くしてしまうものです。ですが「こうしたい」という自分の行為に変換するとポジティブに感じられます。
難しければ、転職エージェントなどに聞いてみるのも手段の一つです。その際、自分の不満の言語化や自己分析も手伝ってもらえば、より効果的に転職理由をまとめられます。
最後に
この記事で説明してきた内容をまとめると以下のとおりです。
この記事のポイント
・転職理由は、主に仕事内容/職場環境/待遇の3つに大別できる
・人事は採用の際、転職理由にも大きく注目している
・自分の転職理由を言語化し、ネガティブにならないように言い換える準備をしておくと不利になりにくい
ポイント後のまとめ
勢いで転職してしまう前に、まずは転職理由を整理するところからはじめてみましょう。自分でも知らなかった自分の一面に気づくことにもつながり、今後の仕事で活かせる可能性もあります。
転職は大きな転機になるからこそ、しっかり目的意識をもち、成功で終わらせたいものです。転職機会があれば、ぜひ当記事を思い出してみてください。
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