日本人の平均年収や同世代の平均年収が気になる方も多いでしょう。この記事では、日本人の平均年収や年代・性別の平均年収、高収入を狙える業種やポイントについて紹介します。今後転職をする際に、高収入を狙いたい方は参考にしてください。
日本人の年収事情
まずは、基本情報として日本人の年収事情を解説していきます。
ここでは、下記3つの観点で見ていきます。
・日本人全体の平均年収
・日本人全体の平均中央値
・世界から見た日本の平均年収
1.日本人全体の平均年収は約430万円
はじめに、国税庁が公表している「2020年(令和2年)民間給与実態調査統計」を参考にして、日本人全体の平均年収を見ておきましょう。
全体的な平均年収は約430万円です。このうち、正規雇用が約496万円、非正規雇用が約176万円。正規雇用と非正規雇用で働き方の差に伴い、平均年収も大きく開きが見られます。
最も多い年収帯は、全体のうち17.4%である300万〜400万円以下です。このボリュームゾーンを含んだ年収400万円以下の人の割合が、全体の半数以上である約55%となります。
2.年収の平均中央値は400万円以下
次に、日本人全体の中央値について、厚生労働省「令和3年賃金構造基本統計調査の概況」、「毎月勤労統計調査 令和3年9月分結果」、「毎月勤労統計調査 令和4年2月分結果」を参考にして、見ていきます。まず、中央値とは、年収を高い順(もしくは低い順)に並べた際、ちょうど真ん中の年収を表します。そのため、極端に高かったり、低かったりする年収の影響を受けずに、より実態に近いデータといえるでしょう。
平均年収が約430万円に対して、平均中央値は約399万円と約30万円の差が見られます。平均年収と同様に正規雇用と非正規雇用では、正規雇用が約456万円、非正規雇用が約162万円と差があります。
3.主要7カ国の中では下位から2位
OECDが調査した平均賃金のデータを参考にすると、日本は35ヵ国中22位であり、主要7ヵ国(アメリカ・イギリス・フランス・ドイツ・イタリア・日本・カナダ)の中では下位から2番目です。一時は上位に位置した日本ですが、他の国が経済成長に伴い賃金も上昇する中、過去30年間で平均年収400万円から変化していません。2020年のトップであるアメリカの約760万円と比較しても、約半分というのが現状です。
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年代・性別で見る平均年収事情
ここまで日本の平均年収、中央値について解説してきました。次に、「20代」「30代」「40代」「50代以上」の4つの年代、男女別の平均年収を見ていきましょう。
すべての年代で割合が高いのが「300万〜400万円未満」です。次いで、割合が高いのが20代で「300万円未満」、その他(30代、40代、50代以上)では「400万〜500万円未満」となります。
20代男女の平均年収
20代の平均年収は341万円です。男女の内訳として、男性は363万円、女性は317万円となり、男女差は46万円です。
30代男女の平均年収
30代の平均年収は437万円です。男女の内訳として、男性は474万円、女性は378万円となり、男女差は96万円です。
40代男女の平均年収
40代の平均年収は502万円です。男女の内訳として、男性は563万円、女性は402万円となり、男女差は161万円です。
50代以上男女の平均年収
50代以上の平均年収は613万円です。男女の内訳として、男性は664万円、女性は435万円となり、男女差は96万円です。
平均年収が高い傾向にある業種
業界や業種によって平均年収に大きく差があります。今回は国税庁の「2019年(令和元年)民間給与実態調査」から平均年収の高い業界・業種を5つ紹介します。
・電気・ガス・水道業界
・金融・保険業界
・情報通信業界
・建設業界
・製造業
それでは、詳しく解説していきます。
1.電気・ガス・水道業界
はじめに平均年収の高い業界・業種として挙げられるのが、電気・ガス・水道業界などのインフラ業界です。電気・ガス・水道業界の平均年収は約824万円と、日本の平均年収に比べて非常に高いです。男女別においても、男性が約871万円、女性が約616万円と女性も日本の平均年収を上回ります。これらインフラ業界は、大企業が多く給与水準が高いことから、平均年収も高くなっているのでしょう。また、景気の影響も受けにくいため、安定した収入を得られるのも特徴です。
2.金融・保険業界
次に平均年収が高い業界・業種として挙げられるのが、金融・保険業界です。金融・保険業界の平均年収は約627万円。電気・ガス・水道業に比べると下がりますが、男性は約808万円と非常に高いものです。一方、女性は約417万円と平均年収より低いとされています。
金融・保険業界の平均年収が高い理由は、成果が賞与や給与にインセンティブという形で反映される営業職が多いためでしょう。成果報酬型の営業職が多いことから分かるように、仕事も多忙で転勤も多いのも特徴です。
3.情報通信業界
3つ目に平均年収が高い業界・業種として挙げられるのが、情報通信業界です。情報通信業界は、通信会社、インターネット関連会社、ソフトウェア会社、出版社など多岐に渡る分野の会社を含みます。
情報通信業界の平均年収は約598万円で、男性は666万円、女性は427万円です。ITコンサルティングやエンジニアは慢性的な人材不足のため、各企業も優秀なIT人材の確保に好条件の提示となり、年収も高くなっています。この業界は、今後も成長が期待できる時代の変化に必要不可欠な分野です。
4.建設業界
4つ目に平均年収が高い業界・業種として挙げられるのが、建設業界です。建設業界といっても、小規模な工務店から大手ゼネコンまで幅広く、大手ゼネコンなど会社によって年収を上げられる業界です。
建設業界の平均年収は約490万円。男女別では、男性は約542万円、女性は約290万円となり、他の業界に比べても女性が低いのが分かります。大手ゼネコンの給与水準が高いため、平均年収も高くなっているのでしょう。
5.製造業
最後に、平均年収が高い業界・業種として挙げられるのが、製造業です。製造業の中には、中小企業や大手企業とさまざまな規模の企業があります。
製造業の平均年収は約513万円です。男性は約596万円、女性は304万円となり、男性が女性の約2倍であることも特徴です。製造業の平均年収が高い理由として、自動車などの大手メーカーや中小企業でもシェアトップの企業の給与水準が高いことが挙げられるでしょう。
転職で平均年収以上を狙うためには
ここまで平均年収の高い業界・業種を紹介してきました。最後に、これら高収入の業界などで平均年収以上を狙うため、転職する際のポイントを5つ解説します。
・大都市の企業に絞って応募する
・高年収を狙える資格を取得する
・インセンティブがつく職種に応募する
・副業OKの企業に転職する
・実績のある転職エージェントに登録する
それでは、各ポイントを詳しく確認していきましょう。
1.大都市の企業に絞って応募する
今すぐに平均年収以上の年収に上げたいのであれば、大都市の企業に絞って応募するという選択肢があります。同じ職種でも、業界や企業規模によって年収は変わるため、職種を変えずに業界や企業規模を変えることで年収アップに繋がるかもしれません。特に、大都市にある大手企業は企業価値も高く、中小企業に比べて利益も大きいため、年収に反映されます。地方の中小企業などで都心部への転職が可能な方は、大都市の大企業に絞ってみましょう。
2.高年収を狙える資格を取得する
高年収が多い業界や職種の特徴として、専門性の高い資格やスキルが必要となります。そのため、年収アップを目指すのであれば、高年収を狙える資格を取得してみましょう。たとえば、不動産業界では宅地建物取引士、不動産鑑定士、MR業界ではMR認定証、マイクロオフィススペシャリスト(MOS)などの取得が必要であったり、転職に有利になったりします。これらの資格はすぐに取得できるものではないため、計画的に学び習得することで、高収入の転職を目指しましょう。
3.インセンティブがつく職種に応募する
現職が年功序列型の企業などであれば、インセンティブがつく職種に応募すると良いでしょう。年功序列の風土が強い企業や一律の給与体系の企業では、成果を上げても年収アップに繋がりません。インセンティブがつく職種としては、平均年収が高い業界・業種でも紹介した「金融・保険業界の営業職」があります。インセンティブがつく職種に応募してしっかりと成果を残すことで、高収入を目指せるでしょう。
4.副業OKの企業に転職する
本業以外の収入経路の確保として副業を行うことで、収入を増やせます。ただし、副業を禁止している企業もあるため、副業で収入を増やしたいのであれば、副業OKの企業に転職しましょう。最近は副業やダブルワークを容認している企業も多いため、転職先として探すのもそこまで難しくないものです。
副業として、クラウドソーシングやダブルワークをすることで、スキマ時間で効率的に稼ぐことができます。ただし、本業に加えて行うことで精神・体力的に負担がかかるため、無理せず取り組むようにしましょう。
5.実績のある転職エージェントに登録する
平均以上の年収である転職先を探す際は、企業の求人募集や転職サイトだけでなく、実績のある転職エージェントに登録することです。実績のある転職エージェントを利用することで、高収入の企業や業界の紹介だけでなく、さまざまなサポートを受けることもできます。
たとえば、年収だけでなく希望条件に沿った求人の連絡や応募書類の添削、面接対策も行います。転職エージェントでは、一般に公開されていない非公開求人も扱えるので、自分では見つけられない求人も紹介してもらえるのもうれしいです。
最後に
転職において、給与などの年収は気になるポイントです。本記事では、日本人及び年代・男女別の平均年収、高収入を狙える業界・業種やポイントについて、紹介してきました。本記事を参考に、平均年収の高い業界・業種に注目して、転職活動を進めてみましょう。