専門性の高い業務や経営層に近い立場を経験できる「ハイクラス転職」。本記事では、ハイクラス転職に必要なスキル、ハイクラス転職のメリット・デメリットを紹介しています。また、ハイクラス転職成功のポイントも解説しているため、転職活動中の人はぜひ参考にしてください。

ハイクラス転職とは

まずは、ハイクラス転職の主な定義や、エグゼクティブとの違いを確認していきます。また、ハイクラス人材を求める企業の一例も紹介します。

ハイクラス転職の定義

ハイクラス転職の定義は場面や企業によって多少異なりますが、一般的には高い専門性が必要な職種や、経営に直接的あるいは間接的に携わる役職に転職することを指します。また、ハイクラス転職で求められるような、高度な専門スキルや豊富なマネジメント経験を持つ人材を「ハイクラス人材」と呼ぶこともあります。

ハイクラス人材の求人は、ほとんどの場合で専門職や管理職となっていて、30代後半から40代以上のミドル世代を対象としたものが多いです。年収が800万円以上の条件を提示している求人情報が、特にハイクラス求人と呼ばれています。

エグゼクティブとの違い

ハイクラスと似た言葉に、役員や重役といった意味を持つエグゼクティブが挙げられます。主に「エグゼクティブ人材」という使い方が用いられていますが、これは企業の経営において重要な意思決定を行う権利を持つ人材を意味する言葉です。

転職市場では、COOやCEO、執行役員などの経営層をエグゼクティブ人材と呼ぶことが多く、一般的にはハイクラス人材よりも高い地位の役職を指す傾向にあります。したがって、エグゼクティブ人材もハイクラス人材も企業経営の中枢に携わる重要な立場ですが、エグゼクティブ人材のほうがより経営に近い点が異なります。

ハイクラス人材を求める企業とは

ハイクラス人材の求人情報は、インターネット上の転職求人サイトに掲載されているケースは少なく、たいていの場合は転職エージェントが紹介を行っています。

ハイクラス人材を求める企業の代表例としては、外資系企業が挙げられます。ほとんどの外資系企業は実力主義の考え方に基づいて、即戦力となるハイクラス人材を常に求めているのです。また、企業を立ち上げたばかりで管理職や幹部クラスの人材が足りていないベンチャー企業、新規事業の立ち上げのために特定分野の専門知識を持つ人材が必要な大手企業もハイクラス人材を求めることがあります。

このように、企業の経営において変革や成長の節目にある企業、企業の中枢に携わる重要人物が必要な企業において、ハイクラス求人が出されている傾向にあります。

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ハイクラスに求められるスキルとキャリア

ハイクラス転職では、通常の転職とは少し異なるスキルやキャリアが求められます。ハイクラス転職を目指す人は、企業がハイクラス人材に求めるスキルやキャリアを把握したうえで、しっかりアピールしていくことが重要です。それでは、ハイクラス転職で重視されるスキルとキャリアについて詳しく見ていきます。

1.マネジメントスキル

多くのハイクラス求人では、入社後にマネジメント業務を行うことを想定して、採用候補者にマネジメントスキルやマネジメント業務の経験を求めています。

マネジメントスキルの具体例としては、組織内や関係各所との利害関係調整をできる調整力やコミュニケーションスキル、事業戦略を論理的に考えられる論理的思考力が挙げられます。また、過去にプロジェクトリーダーや課長、部長などの管理職を経験したことがある人は、こうしたスキルと併せて過去のマネジメント経験をアピールするようにしましょう。

過去のマネジメント経験をアピールする際には、具体的にマネジメント業務を行った場面、工夫や取り組み、それによってどのような業務成果を挙げられたのかを説明するようにしてください。企業の採用担当は、ハイクラス人材へ即戦力や実践的なマネジメントスキルを求めているため、過去の経験と習得したスキルを関連付けて話すことが重要です。

2.募集企業関連の専門知識

ハイクラス求人では、募集企業の既存事業や新規事業に関連した高度な専門知識が求められる傾向にあります。これは、ハイクラス求人を出す企業の多くが、企業の変革と成長のための専門的人材を必要としているためです。

具体的には、マーケティングやIT、システム開発、財務分析をはじめとした分野の専門的知識が挙げられます。その分野に関連する資格の保有や業務経験を面接で説明することが、専門知識をアピールする方法の好例です。ハイクラス転職を狙っている人は、募集企業に関連する分野の難関資格に挑戦したり、その分野に関するキャリアを積んだりするのが良いでしょう。

ハイクラス転職のメリット

ハイクラス転職は、高度な専門性やマネジメントスキルを兼ね備えた人材を採用できるという企業側のメリットにとどまらず、転職者側にとってもうれしいメリットがいくつか存在します。ここでは、ハイクラス転職によって転職者側にもたらされるメリットを3点紹介していきます。

1.年収アップを期待できる

ハイクラス求人の多くは、専門的知識やマネジメントスキルを求めるなどハードルが高い代わりに、報酬を高く設定している傾向にあります。これは、企業側が多額の報酬を支払うことになっても、企業経営の発展のために優秀な人材を採用したいと考えているためです。

そのため、ハイクラス転職を実現できれば、現在の年収からワンランク上の年収になる可能性が高いのです。現在の年収に不満がある、もっと年収を高めたいと考えている人に、ハイクラス転職はとてもおすすめの選択肢と言えます。

2.経営層のポジションにつけることも

ハイクラス求人では、中間管理職よりさらに上の経営層候補を採用しているケースもあります。また、採用時点では管理職にとどまる役職でも、転職先でキャリアを積めば将来的に経営層のポジションにつけることもあるのです。

特に、企業を立ち上げたばかりで幹部候補が足りていないベンチャー企業では、経営に深く関わる人材を求めています。ハイクラス転職は、経営層もしくは経営に近いポジションで、企業経営を学びたいと考えている人にもおすすめです。

3.自身のキャリアに箔がつく

ハイクラス転職をした後は、優秀な同僚たちと切磋琢磨しながら、自身の専門性を高めてスキルアップを実現できます。また、マネジメント業務を経験する中で、経営的視点やマネジメントスキルを養うことも可能です。

さらに、自分自身のキャリアの中でハイクラス転職という箔がつき、今後のキャリア形成も自信を持って行えるはずです。このように、ハイクラス転職は自分のスキルアップにつながるだけではなく、キャリアのグレードアップも実現できて、市場価値を大きく高められます。

ハイクラス転職のデメリット

ハイクラス転職には、年収アップやキャリアアップといったさまざまなメリットがありますが、一方でデメリットもいくつか存在します。ハイクラス転職を検討する際には、メリットとデメリットを天秤にかけることが重要です。

1.実績をゼロから積み上げることになる

ハイクラス転職を行う人の多くは、前職で多くの実績を積んできたハイキャリア人材です。しかし、以前の職場でどれほどベテランでも、転職先では新人同様に実績をゼロから積み上げることになります。人によっては、ゼロから実績を積み上げることに精神的なつらさを感じることもある点が、ハイクラス転職のデメリットのひとつです。

2.労働条件が思うようにいかないことも

ハイクラス転職においては、高年収や高いポジションの役職といった点は実現しやすいですが、一方で労働条件が思うようにいかないこともあります。例えば、業務レベルが上がったうえに仕事量も増えて残業時間が長くなったり、業務の都合上、休日に出勤する必要が出てきたりといったケースが挙げられます。

ハイクラス転職だけに限った話ではありませんが、希望するすべての労働条件が実現するわけではなく、時には受け入れなければならない条件もあるのです。自分のキャリア選択において、年収や役職、労働時間などの条件の何を優先するのか、あらかじめ明確にしておくのが良いでしょう。

3.求められる仕事のレベルが高くなる

ハイクラス転職は、与えられる報酬や役職が高い代わりに、高いレベルの仕事をすることになります。その結果、日々の業務の中でプレッシャーや責任感を強く感じやすくなり、苦痛に思うこともあるでしょう。こうした感覚は、仕事をこなしていくうちにある程度慣れていくかもしれませんが、ハイクラス転職直後は精神的に大変だという点を念頭に置くようにしてください。

ハイクラス転職を成功させるためには

ハイクラス求人は、一般的な求人サイトで非公開になっている求人が多く、ほかの方法で求人を探す必要があります。ハイクラス転職を成功させるための、3つの方法を見ていきます。

1.知人に紹介してもらう

「ハイクラス人材を採用したい」という知人がいる場合、知人が勤める会社へ転職する方法があります。この場合、知人から企業の実情を聞けたり、採用選考で多少優遇してもらえたりといったメリットを期待できます。一方で、知人に紹介してもらうため辞退をしにくく、転職活動の幅が狭まってしまう点がネックです。

2.ヘッドハンティングサービスを利用する

ヘッドハンティングサービスは、インターネット上のヘッドハンティングサイトにあらかじめ自分の職歴やプロフィールを掲載しておき、企業や転職エージェント側からのスカウト連絡を待つ仕組みです。転職希望者の適性や能力、希望する業務内容に合う求人を獲得しやすいですが、スカウトを待つ間にほかの方法も併用するのが効率的です。

3.ハイクラスに特化した転職エージェントに登録する

転職エージェントは、求人を出す企業と、転職希望者との間に立って、お互いをマッチングするサービスです。その中でも、ハイクラス求人に特化した転職エージェントを利用するのがおすすめです。

転職エージェントであれば、求人紹介だけではなく、書類の添削や面接指導も受けられるため、効果的に転職活動を進められます。

最後に

ハイクラス転職には、年収やスキルの向上、キャリアアップといったメリットがある一方で、非公開求人になっているケースが多く、自力では探しにくいのが現状です。そのため、ハイクラス転職を目指す人には、ハイクラス転職に強い転職エージェントやヘッドハンティングサービスの利用をおすすめします。また、ハイクラス転職の採用選考では、募集企業に関連する専門知識やマネジメントスキルをアピールするようにしましょう。