人事の仕事内容

一口に人事の仕事といっても、その業務内容はさまざまです。まずは、実際の人事の仕事とはどのようなものなのか、具体的な仕事内容について見ていきましょう。

1.人材の採用活動

人事は、経営計画に基づいて必要な人員を確保するために、採用計画の立案や採用方針の策定を行います。そしてその計画に基づいて年間を通して採用活動を行います。

採用業務は、新卒採用と中途採用と分かれていますが、どちらも人材紹介サービスや求人サイトを活用して行うのが一般的です。その他、ハローワークやダイレクトリクルーティング、昨今はSNSを活用するなど、採用手法は多様化しているため、それぞれのプラットフォームの管理をするのも人事の仕事です。また、いずれの方法で採用したとしても、入社後は一様に社員として人事が管轄することになります。

2.人材の教育

人事は社員を採用するだけではなく、社員の教育や研修にも携わります。しかし、すべての教育・研修を人事が実施するわけではありません。ビジネスマナー研修やスキルアップ研修、一部の新人研修などは外部の会社や別の部署に委託することもあります。その際に、社員にどのような教育をしてほしいのかを考え、委託先とのやり取りや調整を行うのは、人事の仕事です。そのほかにも、社員がスキルアップするために必要だと思われる教育体制や制度を整えることも人事の役割となります。

3.人材の評価

評価や給与など、社員の処遇や働き方のルールを定める制度の企画や設計、構築、導入、さらには運用も担います。会社の経営状況や従業員のニーズ、労働法の改正などに応じて人事制度の企画や見直しを行い、経営層とも相談しながら作成します。これらの制度によって社員の意欲・能力を向上させたり、異動・転勤・昇進などの配置転換が行われたりするため、企業活動の基幹と言っても良いでしょう。

4.労務

社内全体の業務が円滑に行えるよう、労働に関する環境を整える業務も人事が担う業務の一環です。「労働時間管理」「給与計算」「福利厚生の管理」「社会保険手続き」「安全衛生管理」「労使関係管理」に加えて、健康診断の実施なども人事主導で行います。さらに、最近では、過労死やうつ病の発生が社会問題になっているため、メンタルヘルス対策を行うことも業務範囲に含まれます。

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人事職への転職で求められるスキル

では、人事職への転職で求められるスキルにはどのようなものがあるのでしょうか。ここからは、人事職への転職で求められる5つのスキルを紹介します。

1.コミュニケーション能力

社内外に明るく対応できるコミュニケーション能力は人事において不可欠なスキルです。社員や求職者とのコミュニケーションはもちろん、社会労務士などの専門家とのやりとりも必要となります。また、人事制度などを決定する際には、経営陣と意見を交わす場面もあるため、仕事を円滑に進めるために、コミュニケーション能力を磨いておいて損はありません。

2.柔軟な対応力

人事部が手掛ける業務範囲は非常に多岐にわたります。特に、中小企業の人事部では人事業務を数人もしくは一人で担当するケースが珍しくありません。そのため、定型業務と突発的な業務の両方に柔軟に対応できて、タスクごと頭を切り替えられることが望ましいと言えます。

3.スケジュール管理能力

人事の仕事では、会社全体の状況や業務進捗を確認しながらスケジュール調整を行う場面が多々あります。人と向き合う仕事であるため、スケジュールの調整は、その都度していかなくてはならないためです。スケジュール管理能力があると、転職市場においても大変評価されます。自分のスケジュール管理能力がどの程度あるかについて考えてみると良いでしょう。

4.情報管理能力

人事の業務は、口外厳禁の機密情報を取り扱うことも多いため、情報管理能力があるかどうかも向き不向きに大きく影響します。もしも、普段から秘密を口外してしまうようであれば、人事には向いていないかもしれません。また、口が堅くても機密情報の取り扱いに慣れていない場合、情報漏洩やトラブルを起こしてしまう可能性もあります。

そのため、人事として働く際はうっかり口外してしまわないよう十分に注意することはもちろん、機密情報を取り扱っている自覚と責任をもつことが重要です。

<h3>5.労務の知識
人事が労務を兼務している企業では、労務に関する知識も人事が学んでおく必要があります。労使間で起こるトラブルの多くは、労働者と企業とのコミュニケーション不足が要因です。例えば、契約時の給与・残業時間・勤務時間などが、双方思っていたのと異なっていたため発生するケースも珍しくありません。このようなトラブルの未然防止・正しい対処に努めるためにも、人事には専門的な労務・法律知識が求められるのです。

人事職への転職は未経験でもOK？

結論からいうと、人事職への転職は未経験でも可能です。求人によっては、未経験歓迎という場合もあるため、ぜひチェックしてみましょう。ここでは、人事職の転職市場を説明します。

1.資格は不要だがあると有利になることも

人事に関連する資格を有していることは、転職活動を進めるうえでひとつの強力な武器になります。なぜなら、資格を持っていることで一定の知識やスキルを有していることが証明できるためです。例えば、職業選択や能力開発に関する相談・助言への知識を深められる「キャリアコンサルタント」や、従業員に起こりうるメンタルヘルスの不調への適切な対処・予防策法が学べる「メンタルヘルス・マネジメント検定」などは、人事として入社した後にも大いに役立つ資格です。

2.未経験歓迎の求人は多いが倍率が高いことも

人事職の未経験可の求人数は多いですが、人気のある仕事だけに競争率が激しい傾向にあります。少しでも転職に成功する可能性を高めるためには、求められるスキルや人事職に役立つ資格を取得しておくことが重要になります。

3.ミドル層は管理職経験が有利になることも

ミドル層は、過去のマネジメント経験をアピールすることで、転職活動が有利に働きます。マネジメント実績のPRでは、管理能力を示すエピソードと共に「部下の人数」「部下への指導力」「プロジェクトが企業に与えた貢献度」などを具体的な数値も交えて記載することが重要です。実務能力を優先してアピールすると共に、新しい環境に積極的に馴染んでいく姿勢をアピールしましょう。

人事職への転職活動のポイント4選

ここからは、人事職への転職を成功させるポイントについて解説します。理想の職場に転職するためにも、ぜひ参考にしてみてください。

1.幅広い業種のなかから求人を探す

中小・ベンチャー企業では、人材採用担当者の求人が増えていて、未経験者採用を積極的に行う動きが見られます。このような企業では、新規ビジネスや組織拡大が活発なため、大規模な年間採用計画が進行し、それに伴って、採用業務の担い手である人材採用チームの増員が行われているためです。

また、業界別で見ると、人事未経験者の採用を積極的に行っている業界は、「IT業界」と「人材業界」が挙げられます。人事は、ポテンシャル重視で採用・育成するケースが増えているため、あまり希望を狭めず、幅広い業種のなかから求人を探すことをおすすめします。

2.資格やキャリアを人事職に結び付けてアピールする

自己PRでは、実際に人事で活かせるキャリアや資格、自身の強みを伝えます。たとえ人事が未経験の方でも、業務内容や必要なスキルを理解し掘り下げておくことで、活かせる分野が見つかるはずです。それぞれの経験や得意とするところを活かしたアピール内容を考えましょう。

3.人事職を目指す理由を明確にする

なぜ人事職を志望したのか、その理由を明確にすることも人事職への転職を成功に導く要素のひとつです。たとえば、「周りの人をサポートする、縁の下の力持ち的な存在になりたい」「社内全体を動かす責任のある仕事がしたい」など、採用担当者が納得できるような理由を提示できると面接での評価は高まります。人事職を目指す理由を明確にしたうえで、面接官の納得感を得られる志望動機を熟考してください。

4.人事職への転職に強い転職エージェントを利用する

思うように転職活動が進められない場合には、転職エージェントの活用も効果的な手法のひとつです。転職エージェントでは、希望職種の求人確認や転職までの支援を無料で行ってくれます。また、エージェントによっては、現在の職場の退職手続きや、転職先の入社準備などもサポートしてくれるため、在職中であっても転職活動をスムーズに進めることができます。「日々の業務に追われてなかなか転職先を探す時間がない」「自分に合った会社に転職したい」という方は、ぜひ利用してみてください。

最後に

今回は、人事の仕事内容や人事職への転職活動のポイントについて紹介しました。人事の業務内容は想像以上に幅広いため、転職後に後悔しないためにも応募企業選びを慎重に行うことが欠かせません。そのためには、転職エージェントを活用して自分に合った求人を紹介してもらうのがおすすめです。ぜひ本記事を参考に、人事職への転職を目指してみてください。

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