転職を検討している方たちは、年代や理由などの事情を考慮したうえで、転職するタイミングを見極める必要があります。本記事では、転職に適したタイミングや、現職を円満に退職する流れなどを解説します。転職のタイミングに迷っている方は、ぜひ参考にしてください。
転職を考えるべきタイミングとは?
転職を成功させるポイントのひとつとして、適切なタイミングを知っておくことが重要です。転職を検討する方が多くなるのは、次のタイミングが挙げられます。
入社後3年以上経ったとき
入社後3年経つと、業務の流れを理解し、自分で一通りこなせるようになります。新卒で入社したのであれば、ビジネスマナーも身につくと言われる時期です。この時期は、特に新卒者が転職を検討し始めるケースが増えてきます。
厚生労働省が発表した「令和2年度における新規学卒就職者の離職率」によると、3年以内に離職した新卒者の割合は、高卒で36.9%、短大などで41.4%、大卒で31.2%という数値が発表されています。若い世代の社会人は、一度就職しても前向きに転職を検討する傾向が強いことが分かる結果です。
ただし、入社1年未満での転職は、スキルが身につかないうちに転職することで、どこで働いても長続きしない・忍耐力がないと見られてしまう可能性があります。このため、少なくとも入社3年以上経ってから転職を検討することが多いのです。
ライフスタイルが変わったとき
結婚および、配偶者の転勤・出産・子育て後の社会復帰など、ライフイベントによりライフスタイルが大きく変わるときは、自分自身の仕事を見直すチャンスだと考える方もいます。雇用形態を変えるほか、退職せざるを得ない方もいますが、将来のために資格を取得したり、経験を活かせる仕事を探したりして、前向きに過ごすことが大切です。
やりがいを感じる仕事にチャレンジしたいとき
会社によっては、ジョブローテーション制度が採用されており、各部署でさまざまな経験を積むことができます。ただし、この制度は終身雇用制度を前提としたもので、日本独自の方式だと言えます。終身雇用制度が崩壊しつつある現代において、特定のスキルを深めてスペシャリストを目指すには、不向きな制度なのです。
専門性の高い仕事に就き、やりがいを感じたいと思う場合には、転職という選択肢が挙がるでしょう。
このケース以外にも、現在の仕事にやりがいを感じられなくなると、転職の検討もひとつの手段です。やりがいの定義は人それぞれ異なるため、転職を検討するタイミングも個人差が大きくなります。
未経験の仕事を始めてみたいと思ったとき
何らかのきっかけで、未経験の仕事にチャレンジしたいと考えることもあるでしょう。未経験の職種への転職は、無事に選考されるのか、年収は今までよりも下がるのではないかなど、不安な点も多いでしょう。そのうえで意欲が変わらない場合は、転職を検討するタイミングと言えます。
今の職場でできることをやり切ったと感じたとき
今の職場や部署でできる全ての経験を積んだうえで、さらなる経験やスキルを高めるためには、転職の2文字が頭をよぎるでしょう。このケースに該当する方は、一定の経験やスキルの要件を満たしているため、希望の職種へ転職できる可能性は高いと考えられます。
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年代別・転職するタイミングは?
転職に適したタイミングは、年代によっても大きく異なります。各年代における転職のベストタイミングを見てみましょう。
20代での転職
20代の中でも、特に20代前半での転職は、第二新卒向けの求人も多く、未経験の職種であっても採用される可能性が高いタイミングです。また、20代後半は、転職市場で需要が最も高いとされる年齢です。将来性をふまえて採用されることも多くなっていますので、自分が転職をしたいタイミングにチャレンジしても問題はないでしょう。
ただし、冒頭で紹介したように、入社1年未満での転職は、会社に対してマイナスのイメージを与えることも忘れてはなりません。
30代での転職
20代に比べ、30代はやる気だけで転職するのは難しくなってきます。会社は、30代に対して即戦力を求めることが増え、これまでの経験やスキルが求められます。
自分の経験やスキルをふまえたうえで、どのような仕事がしたいのかを見極めてから転職を検討すると良いでしょう。
40代での転職
40代での転職は、マネジメント能力や専門性が求められるようになり、30代までと比べて求人数が減る傾向が見られます。ただし、求人が全くないわけでないので、挑戦したい仕事をじっくり再考するタイミングと言えるでしょう。
40代での転職を成功させるには、自分が持っている経験やスキルを明らかにした上で、譲歩できる条件とそうでない条件を明確に区別することが必要です。
50代での転職
40代よりも、さらに転職が厳しい年代ではありますが、転職を希望する50代は少なくないものです。これは、令和3年の労働力調査からも分かっており、経験豊富で即戦力となるミドル層の採用が積極的に行われている実情が見られます。65歳までの雇用確保が義務付けられたことで、50代での転職を前向きに考える人も増えています。
転職を避けるべきタイミングも理解しておこう
転職に適したタイミングがある一方で、転職を避けた方が良いタイミングも存在します。どのような場合に、転職を避けた方が良いのでしょうか。
求人数が少ないタイミング
求人数は、一年を通して同じではなく、時期によって大きく変わってきます。多くの企業では、4月を年度替わりとし、9月までの上半期と10月からの下半期に分かれています。
この傾向から、2月から3月・8月から9月頃に求人が増える一方で、それ以外の時期は求人数が減少することが多いのです。求人が少ないタイミングでの転職はライバルが増えるため、転職がうまく進まない可能性が高まります。
勤続年数が短いタイミング
勤続年数が短いと、マイナスの印象を与えてしまうことは避けられません。採用しても、またすぐ辞めてしまうのではないかと思われてしまうためです。
正当な理由があって、短い勤続年数で退職せざるを得なかったのであれば、そのことをきちんと伝えるようにしましょう。伝える姿勢次第では、かえって好印象を与えられる可能性もあります。
現状から逃げ出すための転職をしたいと思ったタイミング
仕事が辛い現状から逃げ出したいために転職活動をしても、失敗や後悔をするだけでなく、同じことを繰り返してしまう可能性も高まります。転職したい理由が、職場が嫌であるという内容であれば、転職するのを思いとどまり、現状を変えていく努力から始めるべきでしょう。
転職をしたい理由が明確ではないタイミング
転職したいと思ったものの、理由がはっきりしない場合も、転職が成功する可能性は大変低いものです。転職により自分が何をしたいのか、どのように変わりたいのかなど、転職後の自分を思い描くと、理由が見えてくるかも知れません。
ライフイベントと同じタイミング
ライフイベントは、仕事を見直すチャンスである一方だと先述しましたが、同時に転職のタイミングの見極めが難しい時期でもあります。転職活動は、時間と手間の両方がかかるため、念入りなスケジュールを組んで活動をしないと、焦って失敗してしまう恐れもあるのです。この点を十分考慮した上で、転職のタイミングを考えましょう。
現職を円満に退職するタイミングと流れは?
転職するには、転職活動を進めるのと同時に、現職を退職するタイミングも考慮しなくてはいけません。これまでお世話になった現職に感謝しつつ、円満に退職するには、どのようなタイミングや流れで進めていくと良いのでしょうか。
退職希望日の1か月から3か月前までが申し出のタイミング
退職を申し出るのは、退職希望日の1か月から3か月前までに行うのが望ましいとされています。法律では、退職を希望する14日前までに申し出ることと規定されていますが、業務引き継ぎなどの関係で、遅くとも1か月前までに申し出ると定めている会社が大半です。
会社の就業規則において、退職に関する記載があれば、その内容に従うようにしましょう。そして、退職日までの引き継ぎ・残務処理・有給消化などの期間を考慮して、スケジュール調整を行いましょう。
退職までの流れを簡単に解説
ここで、退職までの流れを簡単に解説します。
最初に、退職日を決めた上で、退職する旨を直属の上司に報告します。この時に、正式な退職日や業務引き継ぎなどの相談も併せて行いましょう。上司との相談がまとまったら、会社に退職届を提出します。提出が遅れると、退職日がずれてしまう恐れもあるため、早めに提出するよう心がけましょう。
退職届が受理されたら、業務の引き継ぎや残務処理などを行っていきます。自分自身の退職後に、他の社員に迷惑がかかることのないように、また漏れや抜けがないようにきちんと確認しましょう。引き継ぎの資料を作っておくと安心です。
退職日が近づいたら、これまでお世話になったことに挨拶回りをします。できるだけ直接出向いて、感謝の気持ちを伝えたいものですが、業務の都合上難しい場合は、メールもしくは電話を使って丁寧な言葉で挨拶をしましょう。デスクの整理整頓や備品の処分、書類やデータの処理などについて迷うことがあれば、必ず上司の指示を仰ぐようにしてください。すべての処理が終わったら、数日間の有給休暇消化日を経て、退職日を迎えます。
最後に
転職に適したタイミングは、転職したいと思ったきっかけや年代によって、大きく変わってきます。転職に向けてどのような行動を起こすかによって、その後の人生が大きく変わると言っても過言ではありません。
今回解説した内容を参考にし、自分に最も適した転職のタイミングを検討してみてください。