ITストラテジストがなんとなくすごいのは知っているが、具体的に市場価値がどの程度高いのか分からないという方は多いのではないでしょうか。ITストラテジストは謂わばシステム開発の超上流を担当するポジションであり、市場価値は相当高いです。本記事ではITストラテジストの市場価値が高い理由、仕事内容、転職方法について解説していきますね。
ITストラテジストの市場価値が高い理由
ITストラテジストの市場価値はエンジニア職の中でもトップクラスに高いです。その理由は次の4つに分けられるでしょう。
- ①IT知識全般を求められるため
- ②経営視点も必要なため
- ③高いヒューマンスキルを求められるため
- ④企業の方向性を左右する仕事のため
1つ1つの理由について詳しく解説していきますね。
①IT知識全般を求められるため
ITストラテジストはIT知識全般を求められます。
実際に現場で開発や設計を行うわけではないものの、ITの専門家として事業戦略を考えなくてはいけないため、開発・設計に関する総合的な知識が必要ですね。
さらに、IT知識があるだけでなく、その知識を使ってどのように課題を解決するかまで考え出さなくてはいけません。そこまでできるエンジニアは珍しいため、ITストラテジストは市場価値が高いと言えます。
②経営視点も必要なため
ITストラテジストはIT知識と同じくらい経営知識も要求されます。
ITストラテジストは企業の経営課題を聞き出し、解決するための戦略を練る必要があります。経営者と同じ目線に立つことが求められるでしょう。
エンジニアの方は一般的なキャリアを歩む場合、経営知識を身につける機会に恵まれる可能性が低く、経営知識を持っているだけで希少性が高まると言えますね。
③高いヒューマンスキルを求められるため
ITストラテジストはコミュニケーションスキルやプレゼンスキルも求められます。
ITストラテジストは課題解決方法を考案するだけでなく、それを説得力があるようにプレゼンし、顧客の了承を得ないといけません。
顧客から「本当にその方法で良いのか」と反発された場合でも、なぜこの方法が最適なのか明確に説明する必要があります。
また、会社の経営層から経営戦略を聞き出すには心を開いてもらう必要があるため、ITストラテジストはコミュニケーション力や人柄なども重要となってくるでしょう。
④企業の方向性を左右する仕事のため
ITストラテジストは企業の方向性を左右する重要なポジションです。もし事業戦略の方向性が間違っていることが判明した場合責任を問われます。
ITコンサルタントやプロジェクトマネージャーとは違い、企業の中長期的なIT戦略を考える必要があり責任は重いです。
責任が重い仕事はその分高給であることが多いです。
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ITストラテジストの仕事内容
続いて、ITストラテジストの仕事内容について解説します。仕事内容は大きく次の4つに分けられます。
- ①事業戦略の検討
- ②技術動向の分析
- ③システム化計画の作成
- ④マネジメント
ITストラテジストはこれらの仕事をこなし、事業成功に繋げる必要があります。1つ1つの仕事内容について詳しく解説していきますね。
①事業戦略の検討
ストラテジストは日本語で戦略家という意味です。ITストラテジストはその名の通り、IT戦略の立案と実行を行うポジションです。
企業が行うシステム開発は年々複雑化してきています。そのため、いきなり開発を行うのではなく、事前にしっかり事業戦略やIT戦略を練る必要があります。
ITストラテジストは企業の課題を解決するための戦略を検討し、経営陣に提案します。経営陣からフィードバックをもらい、さらに戦略を練っていきます。
②技術動向の分析
ITストラテジストは技術動向の分析を行う必要があります。
現在どの技術分野が主流となっているか分析し、企業課題を解決するにはどの技術を使えば良いか検討していきます。
日本の情報だけでなく海外の情報もキャッチすることが重要です。海外の方がIT技術に関しては先端を走っている場合が多いですし、日本の経営者は海外情報に関して疎い場合が多いからです。
③システム化計画の作成
事業戦略を検討したら、戦略を実現するためにどのようなシステムが必要かを考え、システム化計画の作成を行います。
システムのアーキテクチャをどうすべきか検討します。最近はシステムが複雑化する傾向があるため、アーキテクチャなしにいきなり設計を行うのは難しくなっています。
アーキテクチャ構築とともに、システムの運用方針や評価方針、トラブル時の解決フローなども検討していきます。これらはシステムの品質を担保するのに必要な工程です。
④マネジメント
アーキテクチャの開発が完了すれば、システムの設計・開発のフェーズに入ります。システムエンジニアやプログラマーに仕事を依頼し、ITストラテジストはマネジメントを行います。
システム開発全体のスケジュール管理やトラブル解決、プロジェクト終了後の全体の評価など、一般的なマネジメント業務を担当します。
市場価値の高いITストラテジストに転職するには?
続いて、ITストラテジストに転職する方法について解説します。ITストラテジストは希少なポジションですので、転職難易度は非常に高いと言えます。
ITストラテジストを目指す場合、次の3つの方法を取ることをおすすめします。
- ①上流工程の経験を積む
- ②ハイクラス向けのエージェントを使う
- ③資格を獲得する
1つ1つの方法について詳しく解説していきますね。
①上流工程の経験を積む
1つ目は上流工程の経験を積むことです。
プロジェクトマネジメントなどの上流工程の経験を積むことで上層部との接点が増えるため、経営者目線を培うことが可能です。社内で小規模なプロジェクトが発生した場合、率先してマネージャーに推薦されるように動きたいところです。
IT戦略を考えて実行する経験を積むことで、転職時にアピールできることを増やしていきます。
②ハイクラス向けのエージェントを使う
2つ目はハイクラス向けのエージェントを使うことです。
ハイクラス向けエージェントには、年収1,000万を超える求人や管理職求人が多くあり、それらの求人に転職することで市場価値を高めることが可能です。
ただし、現時点での市場価値がそれなりに高くないと、エージェントに登録しても求人紹介してくれない可能性はあります。
とはいえ、仮に求人紹介してくれなかったとしても、自分がエンジニアとしてどのフェーズにいるか客観的に判断できるメリットがあるため、登録すべきか迷ったら登録してみるのがおすすめですね。
③資格を獲得する
3つ目は資格を獲得することです。
ITストラテジストを目指すなら最低限ITストラテジスト試験は獲得しておきたいです。
他にも、システムアナリスト試験やプロジェクトマネージャー試験、システム監査技術者試験などを獲得することで、IT戦略家に必要な基礎スキルを身につけることが可能です。
ITストラテジスト試験について
最後に、ITストラテジスト試験について詳しく解説します。ITストラテジスト試験の以下の項目についてまとめました。
- 試験概要
- 試験レベル
- 勉強方法
ITストラテジスト試験を獲得することで、エンジニアとしての市場価値を高めることができるため、ITストラテジストを目指さない方でも獲得をおすすめします。
試験概要
ITストラテジスト試験は情報処理技術者試験の1区分です。情報技術者試験にはもともとシステムアナリスト試験というものがありましたが、ITストラテジスト試験に変更されました。
ITストラテジスト試験は数多くあるIT資格の中でも難関と言われています。
試験は午前Ⅰ・午前Ⅱ・午後Ⅰ・午後Ⅱの4つに分かれており、午前I・午前II・午後のIすべてで100点満点中60点以上獲得し、午後IIの試験でAランクを獲得することで合格となります。
試験レベル
ITストラテジストの試験レベルは、最上位のレベル4に分類されています。応用情報技術者試験よりも1つ上のレベルということですね。
また、合格率も15%未満である年が多いです。
特に午後Ⅱの論述問題に慣れていない人が多く苦戦する人が多いと予想されます。応用情報技術者試験などには論述問題がないため、初めて挑む方が多いのでしょう。
勉強方法
午後Ⅰは応用情報技術者試験の午前試験からの流用が多くなっています。そのため応用情報技術者試験の過去問を繰り返すことで対策が可能です。
午後Ⅱはストラテジ系の問題が多く出題されます。やはり過去問を中心にして対策を練るのが良いですね。
午後Ⅰは記述式となっており、問題製作者の意図を素早く読み解く訓練が必要になります。
そして、もっとも難しいのが午後Ⅱの論述問題です。論述問題に関しては「ITストラテジスト 合格論文の書き方・事例集」などの専門的な本で別途対策を取るのが良いでしょう。
最後に
この記事で説明してきた内容をまとめると以下のとおりです。
この記事のポイント
- ITストラテジストの市場価値が高い理由:IT知識全般を求められるため/経営視点も必要なため/高いヒューマンスキルを求められるため/企業の方向性を左右する仕事のため
- ITストラテジストの仕事内容:事業戦略の検討/技術動向の分析/システム化計画の作成/マネジメント
- 市場価値の高いITストラテジストに転職する方法:上流工程の経験を積む/ハイクラス向けのエージェントを使う/資格を獲得する
ITストラテジストは責任が重いうえに必要なスキルが多いため、市場価値は高いと言えます。ITストラテジストを目指すなら、まずはITストラテジスト試験を受験してみるのが良いですね。