法人営業は、営業の中でも企業を相手にするもののことを指しています。言葉は聞いたことがあっても、どんなことをするのかよくわからない人も多いのでは？法人営業の仕事内容、求められるスキルなどについて詳しく解説します。

法人営業とはどんな仕事？

法人営業とは、法人に対して商品やサービスを売る営業職のことをいいます。日用品、洋服、不動産など商品が形をおびている「有形」の場合と、金人材、IT、金融商品、コンサルのように形を帯びない「無形」の場合とに大きく分けることができます。

一口に法人営業といっても、法人営業にはさまざまな手法があります。たとえば、直接クライアントに商品やサービスを売り込む「直販」、販売代理店に対して売り込む「代理店営業」などがその例です。

上記のうち、直販はさらに、新しい顧客開拓をする「新規営業」と、既存の顧客を相手にする「ルート営業」とに分けることができます。

もう一方の代理店営業では、ほとんどが「ルート営業」となります。

新規開拓営業とは？

新規開拓とは、その名前の通り、これまでに一度も取引がない企業に対してアプローチし、新規顧客とするために行う営業活動のことを指します。また、既存顧客に対して、これまでとは切り口の異なる取引きを提案し、新たな売上を目指すことも、新規開拓に含まれます。

ルート営業とは？

他方のルート営業とは、比較的取引が長い取引先となっている既存顧客を訪問して、自社の商品やサービスに関する商談をするほか、新しい商品やサービスについて提案をする仕事のことをいいます。複数の顧客を担当するケースもあれば、大手企業を顧客としてい場合は、専属として毎日のように顧客企業を訪問するようなケースもあります。

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法人営業に求められるスキル

法人営業にはどんなスキルが求められるのでしょうか？以下で詳しくまたわかりやすく説明していきましょう。

高い説明スキル

法人相手に商談を成立させるためには、何よりまず自社の商品やサービスの特徴や利点についてわかりやすく説明できなくてはなりません。窓口となっている担当者だけではなく、その担当者の上長や関連部署の責任者を含め、取引先のあらゆる関係者に対して、自社の商品やサービスを購入することによってどのような良い影響があるかを的確に説明し、納得させなくてはいけないのです。それを実現するためには、論理的で簡潔にわかりやすく伝えることができる説明能力が求められます。

コミュニケーション能力

ここでいうコミュニケーション能力とは、わかりやすく説明する力のことだけを指しているのではありません。取引先との間に厚い信頼関係を築き、抱えている課題を聞き出し、その課題を的確に分析し、なおかつ、分析のためのデータを取り扱う力なども含まれます。

法人営業のやりがいと難しさ

法人営業に取り組むことで、どんな力が身につくのでしょうか？ここでは、法人営業のやりがいについて、どんな難しさがあるかとあわせて説明していきます。

法人営業のやりがい

法人営業を経験することで得られるもっとも大きな力は、企業を納得させることができるような明確な根拠のある、ロジカルで高い合理性のある提案力です。個人営業の場合、取引先から好印象を持たれるなど、感情的な部分が営業成績に大きく影響するといわれていますが、法人営業の場合、商品やサービスを導入した場合の具体的なメリットについて具体的に提案し、それを理解してもらって初めて受注につながるケースが多いようです。

そのため、取引先の担当者だけでなく、中小企業が相手の場合、裁量権をもつ経営陣に対して費用対効果などについてプレゼンすることも少なくありません。よって、法人営業に取り組むことで、商品に関する知識はもちろん、業界に関する知識や資料を作成することがおのずと身についていくことになるでしょう。

法人営業では、相手企業の規模によっては、高額な案件を受注できる可能性があります。そのため、「自社に大きな利益をもたらした」という実感を得ることにもつながるでしょう。

また、他の仕事ではなかなか得ることができない財産とも呼べるような人脈を形成できることも法人営業の大きなやりがいといえるでしょう。法人営業は経営陣と直接やりとりする機会があります。そのため、普段の業務を通して貴重な人脈を築くことが可能です。信頼関係を築くことができれば、その会社に所属しているときだけでなく、別の会社に転職したあとはもちろん、起業したあとにも大いに役立つことになるでしょう。

法人営業の難しさ

大きなやりがいを感じることができる一方、法人営業には特有の難しさもあります。

法人営業では、企業のお金が商品やサービス購入に充てられます。そのため、大口の取引となることも多く、個人営業に比べて取扱金額が大きくなる傾向があります。そのため、一つひとつの取引に大きな責任がともなうことになります。

また、コスト面で競合他社と激しい争いとなった場合でも、社内の調整が必要となるため、個人の裁量でコストを下げることはできません。それが理由で受注を見送られたり、成約間際になってキャンセルになったりするケースもあります。それは、努力を積み重ねたところで、必ずしも売上にはつながらないことを意味しています。

とはいえ、そうした難しさを乗り越えて受注が成立した場合、大きな達成感を得ることができるのも事実です。それもまた、法人営業のやりがいといえるでしょう。

ITと人材業界で活気づく法人営業の転職市場

結論からいって、法人営業の転職市場は、売上増加にともなって人材募集を積極的に行っているITと人材業界が狙い目となっています。

IT業界と人材業界が狙い目

法人営業として転職先で長期的にキャリアを構築したいと考えている人は、売上が全体的に増加している業界を目指すのが近道です。そうした企業は人材募集を積極的に行っているため、採用されやすい傾向があるからです。具体的に売上が伸びている業界としては、IT業界と人材業界が挙げられます。その二つの業界では、法人営業の採用が活性化しています。

上記の業界では、やる気のある人材には積極的に裁量権を持たせる傾向があるといわれています。指示を待って動く受け身タイプより、自分で考え、主体的に動いていくことができるタイプはより大きな成果を上げられる傾向が高いでしょう。

IT業界と人材業界は、ともに無形商材を扱っています。有形商材と違って、商品そのものの属性や価格で勝負することができないため、顧客が抱えている課題と本気で向き合い、また引き出しながら、解決へと導いていくことができる人材が求められていると言えるでしょう。

SaaSを提供している企業はさらに採用されやすい傾向

上記の業界の中でも特に狙い目と言えるのが、SaaS（Software as a Service）を提供している企業です。SaaSやサブスクリプションモデルを取り扱っている企業では、営業業務が細分化されていることが多く、営業の工程を分担するケースが一般的です。

具体的には「インサイドセールス」「フィールドセールス」「マーケティング」「カスタマーサクセス」という4段階に分類する「The Model」と呼ばれる概念が流行しています。それぞれに専門的なスキルを持った人材が配置される企業が増えているため、「フィールドセールス募集」「インサイドセールス募集」という具合に、細分化した領域ごとの求人が出されている状況です。こうした状況は今後、ますます増えていくことになるでしょう。

法人営業はまったくの未経験であっても転職しやすい

営業という職種は、他の業種と比べて、間口がとても広いのが特徴です。そのため、まったくの未経験であっても転職しやすいという特徴があります。ただし、法人営業は、上でも述べてきた通り、企業の経営層を相手に営業をかけることが少なくありませんから、未経験の場合はとくに、ビジネスパーソンとしての適性があるかどうかを見られることになります。ビジネスマナーをはじめ、きちんとした身だしなみをしているかどうか、ハキハキと滑舌よく話せるかどうかなど、好印象を持たれるようあらゆる努力をしてください。

また前職での実績や経験を評価される傾向があります。採用面接では、自身がこれまで取り組んできたことをわかりやすく言語化して伝えられるようにしておくと良いでしょう。

最後に

この記事で説明してきた内容をまとめると以下のとおりです。

法人営業は取り扱う規模や金額が大きくなる傾向があるため、仕事の手応えややりがいが大きいのが特徴です。ただし、それにともなう難しさがあることも覚えておきたいところ。売上が伸びているIT業界と人材などの業界では、法人営業の採用が活性化しています。未経験でも採用されているケースも多いので、転職成功のポイントをおさえて、きちんと準備を整えながら、自分にぴったりの活躍の場を見つけてください。

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