子育ての現状や現職での働く環境から、育休明け転職を検討しているけれど難しいのではないかと悩んでいる人はいませんか?
この記事では育休明け退職の現状から、育休明け転職を成功させるポイントまで詳しく解説します。
目次
育休明け退職の現状
2018年に厚生労働省が発表した「平成30年度雇用均等基本調査(確報)」によると、2017年4月1日~2018年3月31日までの1年間に育児休業を終了し復職予定だった男性のうち、復職した人の割合は 95.0%、退職した人の割合は 5.0%、女性では復職した人の割合は 89.5%、退職した人の割合は 10.5%でした。
つまり男性でも女性でも、育休明けに退職する人は一定数いるということです。
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育休明け転職を考える理由とは?
育休明け転職を考えるのは、どのような理由からなのでしょうか。
3つご紹介します。
育児をしながら働く環境が整えられていないため
子供を育てながら働くためには、それに合った環境や制度を企業側が整える必要があります。
2020年に厚生労働省が発表した「令和2年度雇用均等基本調査」の結果によると、育児のための所定労働時間の短縮措置等の制度がある事業所の割合は73.4%、子の看護休暇制度がある事業所の割合は62.4%、多様な正社員制度の導入率は28.6%でした。
もちろんこれらの数値は時間の経過とともに上昇してきてはいますが、制度があっても利用が促進されなければ意味のない数値とも言えるため、親になっても育児をしながら働くために、それに合った環境を求めて育休明け転職を考えるのは理にかなっていると言えるでしょう。
マタニティ・ハラスメントを受けたため
マタニティ・ハラスメントとは職場において妊婦に対して行う嫌がらせを指します。
2020年に厚生労働省が発表した「令和2年度雇用均等基本調査」の結果によると、妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメントを防止するための対策に「取り組んでいる」企業割合は 76.5%で、2019年より0.8%上昇しています。
しかし男女雇用機会均等法と育児介護休業法が改正され、全ての職場が事業主・上司・同僚などからのマタニティ・ハラスメントを防止するための措置を実施することになったのは2017年1月1日からです。
マタニティ・ハラスメントに対する理解が深まるのはまだこれからという段階のため、マタニティ・ハラスメントを理由に育休明け転職を考える人もいるのではないでしょうか。
目指しているキャリアアップができないため
育休の取得をきっかけに部署移動などが行われると、目指しているキャリアへの道を閉ざされてしまう場合があります。
このような例では、自分の将来に向けてのキャリアプランをあきらめたくないという気持ちから、育休明け転職に踏み切る人もいるでしょう。
育休明け転職をするメリット
育休明け転職をするとどのようなメリットがあるのでしょうか。
3つご紹介します。
希望する条件で転職できる可能性がある
2022年3月に厚生労働省が発表した2022年1月分の一般職業紹介状況によると、有効求人倍率(季節調整値)は1.20倍で、前月を0.03ポイント上回りました。
また新規求人倍率(季節調整値)は2.16倍となり、前月を0.03ポイント下回っています。
いずれも倍率が1を上回り、求職者の数よりも人を探している企業数が多いことから、今のタイミングで育休明け転職をすると、希望する条件で転職できる可能性が高くなるでしょう。
有効求人倍率は厚生労働省のホームページで定期的に更新して発表されるため、育休明け転職のタイミングを図るための参考にすることをおすすめします。
育休中に転職活動をするので金銭面での不安がない
会社を退職してから転職活動をする場合、経済的なゆとりがなくなって条件面で不本意な転職をすることにつながりかねません。
しかし育休明け転職では、育休を取得している間に転職活動をするため金銭面での不安なく転職活動に取り組むことができるでしょう。
育休中に資格を取得して選択肢を広げることができる
育児に慣れてくると、隙間時間を有効活用しようと考える人が多くなります。
この隙間時間を用いて勉強し、育休中に資格を取得すると育休明け転職の際に選択肢を広げることができるでしょう。
取得する資格は、将来的なキャリアアップも踏まえて選ぶとなおよいと言えます。
育休明け転職をするデメリット
育休明け転職をするとどのようなデメリットがあるのでしょうか。
3つご紹介します。
保育園の内定に影響が出る可能性がある
認可保育園に子供を入園させて転職しようと考えている場合、保育園申込時の企業と転職先企業とを比較して勤務時間や就労日数が少なくなった場合、入所の優先順位が下げられてしまいます。
このため育休明け転職をする際は、保育園の内定を取り消されるのを避けるため、あらかじめ入所基準についてしっかりと調べておくことが重要です。
時短勤務制度や有給休暇が活用できない
育児にかける時間を作るため積極的に活用したいのが時短勤務制度や有給休暇制度ですが、時短勤務制度は入社後1年未満は対象とならないことが多く、年次有給休暇も勤続6ヵ月以上にならないと付与されない企業がほとんどです。
子供が小さい時は体調を崩しやすいため、育休明け転職をする場合は応募先や転職先の制度についてよく確認する必要があるでしょう。
子育てと仕事の両立に加えて新しい環境に慣れる必要がある
育休明けで職場に復帰する場合、仕事と育児の両立に悩む人は多いですが、育休明け転職をするとこれに加えて新しい仕事を覚え、環境にも慣れる必要があります。
育休明け転職が自分にとって大きなストレスとなってしまわないかを、あらかじめよく考えておくことが重要です。
育休明け転職のおすすめタイミングとその理由
育休明け転職のおすすめタイミング2つとその理由をご紹介します。
育休明けすぐ
育休が明けてすぐ転職するのは勇気が要りますが、育児休暇中に余裕を持って転職活動ができるのと、転職後は子供を育てやすい環境で働くことができるので良いタイミングだと言えます。
ただし転職してすぐは実績がないため、仕事で成果を出す必要があるのがデメリットと言えるでしょう。
育休が明けて仕事との両立に慣れてから
育休が明けて仕事と育児の両立に慣れてからの転職というのは、自分のペースで仕事と育児に取り組みやすく、円満退職もしやすくなるので良いタイミングです。
ただし次の子供ができた場合、転職のタイミングを逃してしまう可能性もあるのがデメリットと言えるでしょう。
育休明け転職を成功させるポイント
育休明け転職を成功させるには、どのようなポイントを押さえて行動すればよいのでしょうか。
3つご紹介します。
スケジュールを意識して行動する
育休明け転職をスムーズに進めるには、スケジュールを意識して行動することが重要です。
育休明けが4月とした場合の、保活と転職活動を踏まえたスケジュールを表にまとめてみました。
月 | 保活・転職活動の内容 | |
入園の前年 | 5月~10月 | 保育園の情報収集と見学 |
10月~12月 | 保育園の申し込み | |
入園の年 | 1月~2月 | 保育園選考・結果発表 |
1月~2月 | 転職活動を開始 | |
3月 | 退職の申し出 | |
4月 | 保育園入園・退職・転職先入社 |
保活においては認可保育園への入園を希望する人が多いかもしれませんが、必ず入園できるわけではないため、認可外保育園についてもあらかじめ調べておくとよいでしょう。
また退職した場合、自治体にもよりますが2~3ヵ月で転職先を決めない限り保育園を退園しなければならない場合もあるため、注意が必要です。
転職先に求める条件を明確化する
子供がいるかどうかにかかわらず、転職活動においては自己分析や企業研究、業界研究を行った後転職先にどのような条件を求めるかは明確にしておかないといけません。
また自分にとって育児との両立がしやすい環境とはどのようなものなのかを考え、それをかなえるための条件も考える必要があるでしょう。
全ての条件が理想通りの企業を見つけるのが難しい場合でも、条件に優先順位をつけておくことで応募がしやすくなります。
円満な退社を心がける
育休明け転職を成功させるためにも、できるだけ円満退社をするよう心がけましょう。
退職の意志を伝えるのは法定通り1ヵ月程度前であれば問題はありませんが、企業は育休取得者の復帰を見込んで人員配置を決めているため、復帰する部署が決まる前に伝えるなどの配慮をすることが望ましいと言えます。
また退職理由を伝える際は、退職するきっかけが会社への不満だったとしてもストレートには伝えないようにするのがマナーです。
育休明けの急な退職に加えてさらに心証を悪くしてしまうと、引継ぎなどがスムーズにできなくなるだけではなく、退職の時期がずれるといった事態を引き起こしかねません。
退職理由はキャリアアップなどの前向きな理由や家庭の事情とし、今までお世話になった感謝の気持ちとともに伝えると、円満に退社できるのではないでしょうか。
最後に
この記事で説明した内容は次の通りです。
- 男性でも女性でも、育休明けに退職する人は一定数いる
- 育休明け転職を考える理由は育児と仕事を両立できる環境が整えられていない、マタニティ・ハラスメント、キャリアアップができないなどさまざまである
- 育休明け転職をするメリットは希望する条件で転職しやすいこと、金銭面での不安がないこと、資格を取得して転職できることの3つ
- 育休明け転職を成功させるポイントはスケジュールを意識して行動すること、転職先に求める条件を明確にすること、円満退社を心がけることの3つ
この記事も参考にして、ぜひスムーズな育休明け転職をしてみてください。
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